第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O60] 一般演題・口演60
新生児・小児 研究03

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:稲田 雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター集中治療科)

[O60-6] 小児心臓血管外科患者における周術期VCM投与プロトコールの有用性の検討-中間報告

岩田 博文, 數田 高生, 大場 彦明, 芳賀 大樹, 赤嶺 陽子, 山本 泰史, 大塚 康義, 宇城 敦司, 林下 浩士 (大阪市立総合医療センター 集中治療部)

【背景】小児心臓血管外科手術において、術後感染は、約5%程度に起こるといわれているが、術後MRSA感染は死亡率、入院日数、コストの増大をもたらす。MRSAの保菌は術後創部感染全体の発生頻度には寄与しないが、MRSAによる創部感染は多いという報告がある。【目的】小児心臓血管外科手術をうけるMRSA保菌者に対して、周術期VCM投与のプロトコール化を行い、その有用性と課題を中間解析の時点で報告すること。【方法】対象は、16歳未満、術前MRSA保菌、小児心臓血管外科術後患者で、術後感染の発生に関しては、術後3か月以内のものとした。2016年6月からの13ヶ月は、症例毎に主治医とICU担当医でVCM投与を行うか判断、2017年7月からの13ヶ月は、原則術開始直前から術後48時間は継続し、ECMOの患者や開胸状態の患者においては継続することとした。患者背景や、データの採取に関しては、電子カルテを元に後方視的に行った。Primary outcomeは術後3か月以内のMRSA感染有病率、Secondary outcomeはPICU 滞在日数 、人工呼吸器管理期間とした。Adverse eventとして腎機能障害、redmann症候群の発生率を検討した。交絡因子に関しては、年齢・性別・体重・単心室・染色体異常・RACHS-1 risk category ・CPB time・開胸の有無・VCM投与日数・投与人数の検討を行った。【結果】従来群29例、プロトコール群28例であった。術後MRSA感染を起こした患者は、従来群で5人、プロトコール群で2人と、有病率は半分以下に減っていたが、サンプルサイズ185例必要で有意差はでなかった(p=0.44)。実際にVCM投与を行った人数は従来群24例、プロトコール群14例であった。術前MRSAを保菌していなかった患者の、術後MRSA感染は5例であった。術後MRSA感染を発症した患者は術後MRSA感染を起こしていない患者と比べて、RACHS-1 risk categoryが高かった(p=0.04)。【結論】MRSA保菌の小児心臓血管外科術後患者に対して、VCM投与のプロトコール化は術後MRSA感染の抑制に有用な可能性がある。引き続き症例数を蓄積し、どのような患者に有用かを検討する必要がある。