第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

検査法・モニタリング

[O61] 一般演題・口演61
検査法・モニタリング01

Fri. Mar 1, 2019 2:50 PM - 3:40 PM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:小竹 良文(東邦大学医療センター大橋病院麻酔科)

[O61-4] NIRSを指標とした心肺蘇生の可能性を示した一例

川口 剛史, 津久田 純平, 井桁 龍平, 藤井 修一, 田北 無門, 岡本 賢太郎, 内藤 貴基, 森澤 健一郎, 藤谷 茂樹, 平 泰彦 (聖マリアンナ医科大学 救急医学)

AHAのCPRガイドライン2015では呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)がtermination of resuscitation(TOR)の指標として推奨されている(class 2b)が、単独での指標としてではなく、総合的判断材料の一つとされている。また、近年は自己心拍再開(ROSC)と関連する指標として近赤外分光法(NIRS)を用いた脳の組織酸素化指標(TOI)が注目されており、TORの指標としてのNIRSに関して述べられている報告も散見される。【目的】NIRSとETCO2を併用するこ とで心肺蘇生の新たな指標の可能性を示す症例を経験したため報告する。【臨床経過】腸管ベーチェット病の治療中の48歳女性。生物学的製剤による薬剤性肺障害の疑いで入院中に卒倒し、院内で心肺停止となった。NIRSとETCO2のモニタリング下にECPRを行い、循環が確立するまで最大50分間を要した。蘇生時のTOI(%)とETCO2(mmHg)の初回測定値はそれぞれ46.3と37であり、ECPR導入直後の値は85.3と15であった。その後TOI値は高値を維持し、ETCO2の値は低下して10未満となった。造影CTで急性肺血栓塞栓症と診断し、アルテプラーゼによる血栓溶解療法を行い、神経学的に良好な転帰を辿っている。【考察】本症例ではETCO2は蘇生中止の指標の一つとされる10mmHg以下で推移しており、心肺停止の原因となった急性肺血栓塞栓症で生じる死腔換気が影響していると考えられる。絶対値のみではなく病態に応じた数値の解釈が必要となる。【結論】NIRSとETCO2を併用することで新たな心肺蘇生法の有り方に関する可能性が示唆された。