[O63-3] ACSが疑われる患者の来院時心電図非同期造影CTの簡便な計測・スコアリングによって緊急PCIは予測できる
【緒言】急性冠症候群:acute coronary syndrome (ACS)は急性発症の胸痛や冷や汗を主訴に救急搬送されることが多いが、その症状は背部痛や消化器症状など多岐にわたり、場合によっては心肺停止蘇生後などで症状が訴えられない状況で来院することもある。ACSの診断のGolden standard及び現在の主となる治療法は冠動脈造影:coronary angiography (CAG)に基づく経皮的血管形成術 percutaneous coronary intervention (PCI)であるが、救急外来での心電図や主訴だけではその検査前評価が難しい症例が存在する。【目的】ACSの診断で当院CCUに入院となった症例の内、造影CT所見から考えられるACSの診断能についての検討を行った。【方法】2016年1月1日から2年間の間の連続348例中、救急外来で心電図非同期造影CTを撮像した後にCAGを行った37例の内訳は、男性は32例(86.5%)、平均年齢は67.2±11.3歳であり、緊急CAGの後に緊急血行再建を行ったePCI群(n=18)と緊急CAGのみで緊急血行再建を行わなかったnon-ePCI群(n=20)に分類した。評価方法としては全例を当院救急外来CTで撮影を行い、動脈相での心臓のmotion artifactが最も少ないと思われる任意のCTスライス断面において中隔基部、心尖部、自由側壁の3点で任意のROIを設定し、その平均CT値と標準偏差を用いて検討を行った。【結果】3点の最高値と次点値の合計から最低値の2倍を引いたスコアで有意差を認め(p=0.01,95%CI: 8.3-64.5)、ROC曲線で求めたAUCは 0.73(95%CI: 0.56-0.89)、カットオフ値は49.69で感度72.2%、特異度68.4%であった。【結語】ACSが疑われる患者の来院時心電図非同期造影CTの簡便な計測・スコアリングによって冠動脈血行再建は予測できることが示された。