第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

検査法・モニタリング

[O63] 一般演題・口演63
検査法・モニタリング03

Fri. Mar 1, 2019 4:30 PM - 5:20 PM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:野村 岳志(東京女子医科大学集中治療科)

[O63-4] 急速輸液で生じる「血液希釈を伴う循環血液量増加」が頭蓋内圧に与える影響

倉住 拓弥1, 小川 洋二郎1, 田子 智晴1, 加藤 智一1, 小西 透1,2, 岩崎 賢一1 (1.日本大学 医学部 社会医学系 衛生学分野, 2.航空自衛隊 航空医学実験隊)

【背景】細胞外液の急速な輸液によって生じる「血液希釈を伴う循環血液量増加」では、脳循環自動調節能が減弱することを報告した1)。しかし、頭蓋内圧の変化については未だ明らかでない。
【目的】血液希釈を伴う循環血液量増加が脳循環に与える影響を検討した以前の研究1)の脳血流速度及び血圧の記録を再解析し、頭蓋内圧の変化を検討した。
【方法】被験者は健康成人男性12名。静脈路確保及び15分の仰臥位安静後に、脳血流速度及び血圧を非侵襲的かつ連続的に6分間測定した。生理食塩水15 mL/kgを経静脈的に100 mL/minの速度で投与し(NS-15)、投与終了から同様に6分間測定した。さらに、生理食塩水15 mL/kgを同速度で追加投与し(総量30 mL/kg、NS-30)、投与終了から同様に6分間測定した。脳血流速度波形と血圧波形から数理モデル(重関数・伝達関数解析)を用いて頭蓋内圧を推定した。
【結果】頭蓋内圧推定値は、投与前に比べ投与後(NS-15、NS-30)で有意に上昇し、NS-15とNS-30の間に差は無かった(図、投与前:7.6±3.4、NS-15:10.9±3.3、NS-30:11.7±4.2 mmHg、p=0.002 ANOVA)。血圧は有意な変化を認めず、脳血流速度は投与後に有意に上昇した(投与前:67±10、NS-15:72±12、NS-30:73±12 cm/sec、p<0.001 ANOVA)。
【結論】生理食塩水の急速輸液により頭蓋内圧推定値の上昇が認められた。急速輸液で生じる「血液希釈を伴う循環血液量増加」では、脳血流の増加とともに頭蓋内圧が上昇する可能性が示唆された。
本研究はJSPS科研費JP15H05939で行われた。
文献1) Anesth Analg. 2007;105:1389-96.
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