第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

リハビリテーション

[O66] 一般演題・口演66
リハビリテーション03

Fri. Mar 1, 2019 11:05 AM - 12:05 PM 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:高瀬 凡平(防衛医科大学校 集中治療部)

[O66-2] ICU入室患者における握力測定の必要回数は鎮静の影響を受けるか?

野々山 忠芳1, 久保田 雅史1, 鯉江 祐介1, 安竹 千秋1, 高山 マミ1, 今中 芙由子1, 桑鶴 孝一郎1, 嶋田 誠一郎1, 松峯 昭彦1, 藤林 晢男2 (1.福井大学医学部附属病院 リハビリテーション部, 2.福井大学医学部附属病院 集中治療部)

【背景】ICU入室中の筋力評価として握力測定が広く用いられている.一般にICUでの握力測定は3回測定し最大値を採用する方法が用いられているが,鎮静管理による影響を受けるかは不明である.【目的】本研究の目的は,ICU入室患者における鎮静の有無を考慮した握力測定に必要な測定回数を検討することである.【方法】当院ICUに入室し理学療法を実施した症例のうち非鎮静群22例(男性17例,女性5例,平均年齢69.7±9.8歳),鎮静群8例(男性7例,女性1例,平均年齢70.9±10.6歳)を対象とした.鎮静群は全例挿管,人工呼吸管理, 鎮静レベルはRASS -1ー0であった.測定前にScore 5 Questionsを用いた理解力の評価を行い,減点項目がある場合は除外した.握力測定の方法として,測定肢位は端座位またはチェアポジション,肩関節内外転0度,肘関節90度屈曲位とし,デジタル握力計を用いて左右交互に3回ずつ測定した.測定時間は5秒程度とし,最大筋力を誘起するために測定中は測定者による声かけを行なった.得られた握力の測定値の解析は,再現性については級内相関係数(以下,ICC)を算出し,ICC>0.9の獲得に必要な測定回数を算出するためSpearman-Brownの公式を用いてk値を算出した.また,妥当性については,1回目と2回目の測定値,1回目と2回目の測定で得られた最大値と3回目の測定値との間でそれぞれBland-Altman分析を実施し,系統誤差の指標である固定誤差,比例誤差の有無を調査した.解析にはSPSS,Microsoft Excelを用いた.【結果】非鎮静群ではICC=0.95,k=0.47であり,Bland-Altman分析では1回目と2回目の測定値間では固定誤差,比例誤差を認めず,1回目と2回目の測定で得られた最大値と3回目の測定値間で固定誤差を認めた(0.82kg, 95%CI 0.13 to 1.51).一方,鎮静群ではICC 0.97,k=0.28であったが,Bland-Altman分析では1回目と2回目の測定値間で固定誤差を認め(-1.24kg, 95%CI -1.7 to -0.78),1回目と2回目の測定で得られた最大値と3回目の測定値間にも固定誤差を認めた(1.4kg, 95%CI 0.9 to 2.0).また,いずれも比例誤差は認めなかった.【結語】ICUにおける握力の測定回数は,再現性の観点では1回で良いが,妥当性の観点より,鎮静管理の症例では2回必要であるかもしれない.