第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O70] 一般演題・口演70
リハビリテーション07

2019年3月1日(金) 16:50 〜 17:40 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:早川 桂(さいたま赤十字病院 高度救命救急センター)

[O70-2] 当院ICUにおける早期離床リハビリテーション導入前後の医療経済効果および患者背景に関する検討

石原 敦司1,2, 吉眞 孝1,3, 森 輝樹1,2, 天野 元浩1,4, 増田 篤紀1,5, 桑原 秀次1,6, 松本 真介1,7, 山本 拓巳1,8, 豊田 泉1,9, 野田 俊之1,3 (1.岐阜県総合医療センター 呼吸ケアサポートチーム, 2.同 リハビリテーション部, 3.同 循環器内科, 4.同 看護部, 5.同 呼吸器内科, 6.同 小児科, 7.同 呼吸器外科, 8.同 麻酔科, 9.同 救命救急センター)

【目的】平成30年度の診療報酬改定に伴い,新たに特定集中治療室における早期離床リハビリテーション(早期離床)加算が算定できるようになった.これを受けて当院でも離床プロトコルを作成し運用開始とともに算定し始めている.早期離床加算は入室より48時間以内に多職種チームで離床に関するプランニングを行うことにより算定できる.一方で早期離床加算を算定することにより,疾患別リハ料が算定できなくなる.今回当院ICUにおける早期離床導入に伴う医療経済効果および患者背景を早期離床導入前後で比較検討したので報告する.【対象・方法】早期離床導入前後のそれぞれ2か月間に当院ICUに入室した患者193例(年齢:70.4±9.7歳,男性:116例)を対象とし,早期離床導入前後で2群に分け,患者背景および治療日数を元に医療経済効果を後ろ向きに解析した.統計解析はWilcoxonの符号付順位和検定法を使用し,有意水準は5%とした.【結果】早期離床導入前後の患者背景の比較では,患者数106/87,年齢70.5±11.2/73.1±10.0,APACHE II 18.5±8.8/20.3±7.9,看護必要度AとB 7.0± 3.9/8.0±3.7,6.5±2.2/7.0±2.0,挿管患者割合は42.5/49.4%であり,どの項目にも有意な差を認めなかった.次にICUにおける1日の一患者当たりのリハビリ介入時間は44.5±21.4/51.6±15.0分で有意な差を認めた.ICU在室日数は3.5±5.6/4.1±4.8と有意な差を認めなかった.一般病棟における経過に関しては在院日数が23.4±21.3/17.0±12.8,自宅退院率は71.7%/84.7%でそれぞれに有意な差を認めた.結果を元に早期離床導入による効果を1か月の平均医療収益で比較した場合,早期離床導入前のICUでの疾患別リハ料は106.5万円で,早期離床導入後での早期離床加算算定料は96.1万円であり,10.4万円損益であった.一方,ICU在室14日超え患者の14日以降日数は24.0日/15.5日であり,これを当院の有する特定集中治療Iの算定料に置き換えると51.0万円増益を認め,同様に一般病棟における21日超えをDPC III期超えと仮定した場合,その日数は461.5/191.0日であり,全国平均のDPC入院単価で換算すると270.5万円の増益を認め,1か月の総収益で換算すると311.1万円の増益であった.【結語】当院の結果では,早期離床加算を算定することは患者背景の向上のみならず医療経済効果としても良好であった.多職種チームで離床に関するプランニングを行うことは治療の質を向上し,医療経済効果に関しても寄与する可能性が示唆された.