[O71-4] ECPELLAで救命したCPA蘇生後の患者に対して早期リハビリ介入が有効であった1症例
【背景】薬剤抵抗性の心原性ショックに対してIABPやVA-ECMOによる補助を行ってきたが,左室をunloadできず心負荷軽減と心筋循環改善を得られない症例も多い.Impellaは左室から脱血し大動脈から送血するポンプカテーテル型の左室補助装置であり,迅速かつ低侵襲に導入可能である.本邦ではImpellaは2017年9月に保険償還され,当院でも同年12月に導入し, 2018年8月までに20症例を経験した.内訳はECPELLA(VA-ECMO+Impella)14症例,Impella単独が6症例である.【目的】AVR後生体弁機能不全からの心原性ショックを伴う重症心不全に対してECPELLAで救命,心臓リハビリを経て自宅へ独歩退院した症例を経験したので報告する.【症例】症例は35歳の女性.BMIは18.6.既往歴は四尖弁のsevereARに対して8年前にAVRを施行.現病歴は約1ヶ月前から呼吸苦増悪(NYHAIII)があり当院受診,検査中に心原性ショックからCPAとなり23分間のCPR施行.心原性ショックからの循環動態破綻であり,速やかにECPELLA(Impella2.5)補助を開始した.検査所見はBNP>2000,eGFR79.0,LVEF46%,SevereAS,CRT62.4%であった.補助開始数時間で循環動態安定し,入院第2病日VA-ECMOを離脱,第6病日にImpellaを離脱した.第9病日からリハビリを開始,第15病日にRedo-AVRを施行した.AVR後は心不全の増悪を認めず順調に経過,第27病日に座位訓練開始,第30病日に人工呼吸器を離脱した.第33病日にリハビリセンターで歩行訓練を開始した.意識レベルの改善とともに高次脳機能障害を認めた.本症例は未就学児を含む2児の母でもあったため第35病日からOTでADL・IADL訓練開始.基本動作能力は自立したが,処理速度や記憶障害が軽度残存,生活上の注意点や自主訓練を家族と本人へ指導し第52病日に自宅退院した.【結論】生体弁機能不全からの心原性ショック→CPAに対しECPELLAを導入し救命,自宅退院した症例を担当した.本症例は早急にECPELLAを導入したことが循環動態と心機能改善を可能とし,早期からのリハビリ介入がADL改善に繋がり独歩で自宅退院する事ができた.また,高次脳機能障害が軽度残存していたためご家族と本人に生活上の注意点も指導しリハビリを終えた.