第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O71] 一般演題・口演71
リハビリテーション08

2019年3月1日(金) 17:40 〜 18:40 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:水 大介(神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター)

[O71-6] 【優秀演題(口演)】幼児期の心臓術後症例に対する早期リハビリテーションが有効であった一症例

大西 伸悟1, 圓尾 文子2, 山本 真由子2, 阪田 美穂3, 佐藤 有美3, 白井 丈明4, 下田 将司5, 川崎 健作1, 切田 学6 (1.加古川中央市民病院 リハビリテーション室, 2.加古川中央市民病院 心臓血管外科, 3.加古川中央市民病院 小児科, 4.加古川中央市民病院 循環器内科, 5.加古川中央市民病院 看護部, 6.加古川中央市民病院 救急科)

【背景】成人期の開胸開心術後早期リハビリテーション(以下、心リハ)の有効性は報告されているが、幼児期における術後早期心リハ介入に関する報告は少ない。
【目的】今回、三尖弁閉鎖症1b型によりFontan手術が施行された2歳男児に対する術後早期心リハの有効性について検討すること。
【症例】症例は、生後2カ月時に体肺動脈短絡術、生後5ヶ月時に両側両方向性グレン手術を経て、今回2歳3カ月でFontan手術を施行された男児。術前評価では、安静時HR120回/分、経鼻酸素0.5L/分でSpO285%、胸部レントゲンではCTR47.5%、血液検査ではBNP7.5pg/ml、心臓カテーテル検査にて平均肺動脈圧9mmHg、肺血管抵抗1.0Wood×m2、PA index143mm2/m2、LVEDV223%ofN、EF78%であった。運動面・心理面の発達は正常範囲内で小走り可能であったが、10m歩行ではSpO270%、HR165回/分となり、普段から座って遊ぶことが多く、あまり歩きたがらないとの訴えが母親より聞かれた。術後心リハはFontan手術後2時間より開始した。術後4時間で人工呼吸器を離脱した。術後翌日に経鼻酸素1L/分で立位負荷を実施できた。術後2日目には介助下にて50m歩行を達成し、自然排便があった。術後3日目には胸腔ドレーンが抜去でき、手押し車で100m歩行を達成した。術後8日目より経鼻酸素0.5L/分で独歩にて100m、術後9日目には独歩300mを達成し、術後10日目に退院した。外来にて術後16日目に6分間歩行にて経鼻酸素0.5L/分で歩行時最高HR150回/分、歩行時最低SpO293%で250m歩行を達成した。10cmの階段昇降でもHR、SpO2は安静時と変わりなかった。
【考察】Fontan手術後の循環動態は、静脈還流が低下するため低心拍出量となる。それによって胸水貯留は遷延し、術後の入院期間が長くなることが問題とされている。本症例においては、術後超早期の心リハ実施による離床を実施できたことで呼吸、循環、自然排便など生理的機能の回復を速やかにし、ドレーンの早期抜去につながったと考えられた。
【結語】ICU管理下で幼児期の心リハを早期かつ安全に行うことができた。また、幼児期のFontan術後心リハが生理的機能の回復に寄与することが示唆された。