第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

栄養

[O74] 一般演題・口演74
栄養03

Sat. Mar 2, 2019 10:25 AM - 11:05 AM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:森脇 龍太郎(帝京大学ちば総合医療センター 救命救急センター)

[O74-3] 当院ICUにおける管理栄養士配置の効果 -単施設前後比較研究-

畠山 淳司1, 麻生 将太郎2, 武居 哲洋1, 高橋 哲也1, 永田 功1, 藤澤 美智子1, 山田 広之1, 藤 雅文1, 平田 晶子1, 杉木 馨1 (1.横浜市立みなと赤十字病院 救命救急センター, 2.東京大学大学院医学系研究科 臨床疫学・経済学教室)

【背景】当院はsemi closed ICUであり重症患者の栄養療法は、集中治療医が介入することが多いが、症例によっては各診療科の判断で行うこともある。Nutrition Support Team(NST)がICUに介入している施設はあるが、当院ICUではNST加算が算定できないことやマンパワーの問題でNSTの介入は行っていない。2016年7月より管理栄養士がICU配置となり、早期経腸栄養や高蛋白質投与、経腸栄養が使用できない場合は静脈栄養の併用を意識した栄養療法を提案している。
【目的】管理栄養士のICU配置後で重症患者における栄養療法が改善したかを調査した。
【方法】2014年7月から2016年6月までの管理栄養士のICU配置前と2016年7月から2018年6月までの配置後のそれぞれ2年間において、ICU入室後72時間以上人工呼吸管理を要し、ICU滞在日数が1週間以上であった患者を対象とした。除外基準として、1週間以内に経口摂取を開始した患者や治療制限を行った患者、身体計測未実施患者とした。経腸栄養開始時期、ICU入室4日目と7日目のエネルギー充足率と蛋白質投与量、転帰について回帰不連続デザインを用いて後方視的に検討した。
【結果】対象患者は配置前74例、配置後70例であった。患者背景は、配置前後で年齢(75 vs. 69歳, p=0.08)、性別(男性 48 vs. 47人, p=0.77)、BMI(22.7 vs. 21.7kg/m2, p=0.24)、NUTRICスコア(6 vs. 5, p=0.86)に差を認めなかった。敗血症性ショックが最多(18 vs. 20例, p=0.77)であり、次いで心臓血管外科術後(15 vs. 9, p=0.23)であった。人工呼吸期間に差を認めなかった(216 vs. 185時間, p=0.28)。経腸栄養開始時期は配置後で有意に短縮していた(-93時間, 95%CI -185--0.5, p=0.049)。ICU4日目の蛋白質投与量に差を認めないものの(0.6g/kg/day, 95%CI -0.1-1.3, p=0.07)、ICU4日目のエネルギー充足率(47%, 95%CI 4.9-89, p=0.03)、ICU7日目の蛋白質投与量(0.8g/kg/day, 95%CI 0.2-1.4, p=0.01)とエネルギー充足率(65%, 95%CI 16-114, p=0.01)は配置後で有意に増加していた。ICU滞在日数や在院日数、死亡率に差を認めなかった。
【結論】管理栄養士のICU配置後に、長期ICU管理が必要な重症患者の経腸栄養がより早期から開始され、蛋白質投与量とエネルギー投与量が増加した。