[O77-1] 多発肋骨骨折患者の人工呼吸離脱に脊柱起立筋面ブロックが有効であった一例
<はじめに>多発肋骨骨折において、不十分な鎮痛は無気肺形成を来し、排痰障害から肺炎を併発するなど人工呼吸装着を要することも多い。当院は積極的に硬膜外麻酔による鎮痛を行っているが、抗凝固薬・抗血小板薬内服患者や凝固障害を有する患者では禁忌とされるため、限界があった。近年、硬膜外麻酔の代替として脊柱起立筋面ブロック(Erector spinae plane block、以下ESPB)の有効性が報告されており当院でも人工呼吸離脱に有効であった症例を経験したため報告する。
<症例>84歳女性、身長157cm、体重57kg。自宅で転倒し、両側多発肋骨骨折(右5-10、左4-9)を受傷した。入院当日はフェンタニルの持続静注を行うも鎮痛が不十分で10Lリザーバーマスク下でもSpO2が80%台となるためNIPPVを装着して呼吸管理をされていた。入院翌日、硬膜外麻酔を検討したが、イコサペント酸エチルを内服していたため、ESPBを予定した。右側臥位でTh5横突起を目印に穿刺し、両側0.375%アナペイン20mlを注入した。ピンプリックでTh4-10の麻酔効果を確認し、NRSは7から2へ低下し、深呼吸や咳嗽も可能となった。ブロック施行1時間後にはNIPPVを離脱し4L/min経鼻カニュラまで酸素を減量することが出来た。翌日にも同等の量で単回神経ブロックを施行した。呼吸器合併症がないまま第11病日に退院となった。
<考察>ESPBは近年報告された手技で、横突起レベルで脊柱起立筋の深部に局所麻酔薬を注入し、傍脊椎神経ブロック様の効果を期待するものである。硬膜外麻酔、傍脊椎神経ブロックとも抗凝固薬・抗血小板薬内服時は中等度~高度リスクとなるため、ESPBが代替となると思われる。
<まとめ>脊柱起立筋面ブロックは多発肋骨骨折において硬膜外麻酔の代替法となりうる。
<症例>84歳女性、身長157cm、体重57kg。自宅で転倒し、両側多発肋骨骨折(右5-10、左4-9)を受傷した。入院当日はフェンタニルの持続静注を行うも鎮痛が不十分で10Lリザーバーマスク下でもSpO2が80%台となるためNIPPVを装着して呼吸管理をされていた。入院翌日、硬膜外麻酔を検討したが、イコサペント酸エチルを内服していたため、ESPBを予定した。右側臥位でTh5横突起を目印に穿刺し、両側0.375%アナペイン20mlを注入した。ピンプリックでTh4-10の麻酔効果を確認し、NRSは7から2へ低下し、深呼吸や咳嗽も可能となった。ブロック施行1時間後にはNIPPVを離脱し4L/min経鼻カニュラまで酸素を減量することが出来た。翌日にも同等の量で単回神経ブロックを施行した。呼吸器合併症がないまま第11病日に退院となった。
<考察>ESPBは近年報告された手技で、横突起レベルで脊柱起立筋の深部に局所麻酔薬を注入し、傍脊椎神経ブロック様の効果を期待するものである。硬膜外麻酔、傍脊椎神経ブロックとも抗凝固薬・抗血小板薬内服時は中等度~高度リスクとなるため、ESPBが代替となると思われる。
<まとめ>脊柱起立筋面ブロックは多発肋骨骨折において硬膜外麻酔の代替法となりうる。