第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

外傷・熱傷 研究

[O79] 一般演題・口演79
外傷・熱傷 研究04

Sat. Mar 2, 2019 4:00 PM - 4:40 PM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:永嶋 太(佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

[O79-5] 外傷性頸髄損傷の予測外呼吸悪化に関連する要因の検討

森下 美佳1, 木下 あずな1, 米満 尚史2, 泉 仁美1, 藁科 佳代1, 加藤 正哉2 (1.和歌山県立医科大学附属病院 HCU, 2.和歌山県立医科大学附属病院 高度救命救急センター)

【背景】外傷性頸髄損傷における呼吸器合併症は死亡の主要因となり得るため、急性期から亜急性期における呼吸管理は予後に影響する重要な位置を占める。脊髄損傷症例で気管挿管となる予測因子として高位頸髄損傷や四肢完全麻痺などが報告されているが、緊急気管挿管や手術直後抜管不可など予測し得なかった呼吸状態悪化に関連する要因の検討は未だ十分ではない。【目的】当救命救急センター入院後の頸髄損傷症例における予測外呼吸悪化に関連する危険因子を明らかにすること。【方法】2013年1月から2017年12月の5年間に和歌山県立医科大学附属病院高度救命救急センターに搬入された外傷性頸髄損傷全165症例のうち、15歳未満、中心性頸髄損傷、来院時CPA、MRI撮影なし、脳死、ISS≧41、整形外科患者、入院後に別の疾患で死亡、損傷部位特定不可であった症例を除外した72症例を解析対象とした。予想し得なかった呼吸悪化発生の有無で2群に分類、損傷レベル・各筋群麻痺や2時間以内吸引を要する気道分泌過多などの要因を比較検討した。統計学的解析は、連続変数でMann-WhiteneyのU検定、カテゴリー変数でχ2検定を用いた。本研究は和歌山県立医科大学の倫理委員会で承認された後ろ向き研究である。【結果】全患者の背景として年齢67.5±13.6歳、性別は男性59例(81.9%)、BMI平均22.4±3.2、全入院期間35.5±35.3日、救命救急センター管理期間25.5±17.2日、損傷レベルは第5頸髄が最多で24例(33.3%)、次いで第4・第6頸髄が各々15例ずつ(20.8%)であった。気管挿管となったのは全23例(31.9%)、人工呼吸管理21例(29.2%)、気管切開16例(22.2%)、予測外呼吸悪化は12例(16.7%)で発生していた。呼吸悪化有無2群の単変量解析の結果、全入院期間・救命救急センター管理期間・ISS・気道分泌過多で有意差がみられた。【結論】入院後の外傷性頸髄損傷症例において、予測外呼吸悪化が発生している場合は入院期間・救命救急センター管理期間が有意に延長していた。看護師の主観判断も含む気道分泌過多状態は予測外呼吸悪化に関連する要因と考えられ、医師や理学療法士など多職種協同で呼吸状態悪化を予防するにあたって重要な観察項目である可能性が示唆された。