第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 研究

[O82] 一般演題・口演82
呼吸 研究01

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:35 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:戎 初代(公益社団法人地域医療振興協会東京ベイ・浦安市川医療センター看護部)

[O82-5] ICUに入室する人工呼吸器装着患者における器械的排痰補助装置の有効性

吉川 由利香1, 富岡 真紀子1, 園生 智弘2, 橋本 英樹2, 中村 謙介2 (1.(株)日立製作所 日立総合病院 看護局, 2.(株)日立製作所 日立総合病院 救急集中治療科)

背景】器械的排痰補助(Mechanical Insufflator-Exsufflator,MI-E)は、神経筋疾患や脊髄損傷などの呼吸筋の低下した病態における気道クリアランスに有用だとされているが、人工呼吸器管理中の患者に対するエビデンスに乏しい。円滑な排痰により人工呼吸器装着期間を短縮することで、ICU入室期間の短縮や筋力低下、認知機能の予防につながる可能性がある。【目的】ICUに入室する人工呼吸器装着患者における器械的排痰補助(Mechanical Insufflator-Exsufflator, MI-E)の有用性について明らかにする。【方法】2017年11月以降にICUに入室した人工呼吸器装着患者を対象とし、前向き無作為非盲検化介入試験を行った。48時間以上の人工呼吸器管理が必要と予測され、喀痰量が多く(1時間に1回以上の吸引が必要)、医師が肺理学的療法を必要と判断する患者を組み入れた。介入群は抜管日まで、標準ケアに加えて対象患者に対し医師の指示に基づき吸引の実施前にConfort Cough Plusにて MI-Eを±40cmH2O設定にて10回実施し、非介入群は通常の標準ケアのみを行った。介入・非介入群で、ICU在室日数、人工呼吸器日数を比較した。統計解析にはMann-Whitney検定を使用し、有意水準はp<0.05とした。【結果】2017年11月以降の人工呼吸器装着患者189名のうち、組み入れ基準を満たした患者は27名で、平均年齢は72.6歳、男女比は24:3(男:女)であった。介入群(15名)、非介入群(12名)の割り付け時点でのP/F比(介入群239.8±73.7、非介入群257.7±128.3)、CRP(介入群11.8±6.5、非介入群8.0±6.7mg/dL)、プロカルシトニン(介入群5.9±14.4、非介入群18.7±38.0ng/ml)それぞれに有意差はみられなかった。人工呼吸器装着日数(介入群7.2±5.2days、非介入群10±10.8days)、ICU在室日数(介入群9.5±5.0days、非介入群12±9.1days)のいずれにおいても介入群で短い傾向が見られたが、有意差は認めなかった。【結論】介入群で、人工呼吸器日数、ICU滞在日数の短縮傾向を認め、人工呼吸器患者にける器械的排痰補助は有用な可能性があると考えられる。