第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 研究

[O83] 一般演題・口演83
呼吸 研究02

2019年3月2日(土) 09:35 〜 10:25 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:芹田 良平(国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院集中治療科)

[O83-1] 救急患者における気管切開施行の有無に影響を及ぼす因子の検討

藤永 潤1,3, 栗山 明2, 小野寺 睦雄1 (1.(公財) 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 集中治療科, 2.(公財) 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 救急科, 3.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学・衛生学分野)

【背景】救急患者における待機的気管切開施行の有無に影響する因子を検討した報告はこれまでにない。【目的】緊急気管挿管を施行された救急患者における気管切開に影響する因子を明らかにする。【方法】2つの院内データベースを用いた後ろ向き観察研究である。過去の観察研究からの気管挿管に関するデータと当院救命救急センターICU(EICU)内のデータベースを突合した。2013年4月から2017年11月に緊急気管挿管を行われ、EICUに入室した18歳以上の患者を対象とした。プライマリアウトカムは気管切開とし、人工呼吸期間、ICU滞在日数、入院日数、死亡をセカンダリアウトカムとした。連続変数は中央値と四分位(IQR)で記載した。【結果】対象は584名で、男性354人(60.6%)、年齢63.9歳(51.5-79)、SOFAスコア7.0(4-10)であった。内訳は内科、緊急術後、CPA蘇生後が320人(54.1%)、160人(27.4%)、47人(8.1%)であった。外傷患者は 211人(36.1%)でISS 25.3 (16-34)であった。気管切開は70人(12.0%)に施行され、人工呼吸期間は4.8日(1-6日)であった。ICU内死亡は78人(13.4%)、ICU滞在日数は7.1日(3-9日)であった。多変量解析では、気管挿管時の因子(挿管施行者の属性や挿管方法、合併症、試行回数のいずれも)は気管切開の有無や人工呼吸期間との関連を認めなかった。ICU滞在日数、入院日数や死亡とも関連を認めなかった。SOFAスコア(回帰係数0.40, 95%CI 0.26-0.53)、ARDS (回帰係数6.77, 95%CI 1.38-12.16)、VAPまたはVAC(回帰係数4.15, 95%CI 1.97-6.34)、AF/AFL新規発症(回帰係数6.92, 95%CI 4.70-9.15)、呼吸器疾患での入室(回帰係数2.85, 95%CI 1.39-4.30)が人工呼吸器日数と関連し、BMI≦18.5(OR 3.21, 95%CI 1.50-6.89)、VAPまたはVAC(OR 7.62, 95%CI 2.84-20.5)、人工呼吸器日数(OR 1.18, 95%CI 1.10-1.27)が気管切開と関連していた。それぞれの変数の間に共線性は認めなかった。【結論】救急患者において緊急気管挿管に関する要因は入院中の気管切開の施行と関連を認めず、やせ、VAPまたはVAC、人工呼吸器日数が関連を認めた。