[O83-4] 当院ICUにおけるV-V ECMO施行状況と短期予後に関する検討
【背景】当院ICUでは重症呼吸不全患者に対してELSO(Extracorporeal Life Support Organization)から公表されているガイドラインを元に治療プロトコルを作成し,適応患者に対してVeno-venous extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を導入している。【目的】当院ICUにおける重症呼吸不全患者に対するECMO施行状況を後方視的に調査し,短期予後および合併症について検討した。【方法】後ろ向き観察研究。2014年1月から2018年8月の間,当院ICUにおいて重症呼吸不全に対してECMOを導入した患者20例を対象とした。対象患者の電子カルテを後方視的に調査し,ECMO施行状況と短期予後について検討した。主要評価項目は28日死亡率とした。【結果】年齢は70.6±12.4歳,男性14例,女性6例,ICU入室時APACHEIIスコアは29.1±6.9,APACHEII予測死亡率は71.0±18.0%,SOFAスコアは12.0±3.4,Murrayスコアは3.0±0.3であった。ECMO施行期間は15.8±13.0日であった。28日死亡は20例中4例で28日死亡率は20.0%であった。28日以内に死亡した症例は,呼吸機能の改善がなく治療撤退となった患者が2例,腹腔内出血によりECMO離脱を余儀なくされた患者が1例, ECMO離脱後に敗血症から多臓器不全となった患者が1例であった。ECMO関連の合併症として出血が5例,カテーテル留置部位の静脈血栓症が1例に認められたが,死亡との有意な関連はなかった。【結論】当院ICUにおけるECMO施行患者は平均年齢70.6歳,APACHEIIスコア29.1,SOFAスコア12.0と比較的高齢で重症度の高い患者が対象となっていた。しかし,28日死亡率は20.0%であり,APACHEIIの予測死亡率71.0%に比べて有意に低かった。またECMO関連の重篤な合併症は腹腔内出血によりECMO離脱を余儀なくされた1例のみであり,ECMOの管理としては安全に実施できていると考えられる。重症呼吸不全患者に対するECMO導入基準や管理方法について文献的考察を踏まえて報告する。尚,本研究は第46回日本救急医学会総会・学術集会における発表(症例数17例)の第2報として発表する。