[O84-3] 補助―調節換気における調節呼吸が横隔膜厚の変化に与える影響
【背景】調節呼吸は24時間以内に横隔膜の萎縮をもたらす一方、強い吸気努力が横隔膜機能を低下させる可能性も指摘されている。全ての呼吸が同じ強制換気で行われる補助―調節換気(アシストコントロール換気:A/C)において、調節呼吸が横隔膜機能に与える影響は明らかではない。【目的】A/C開始後早期の調節呼吸比率が横隔膜厚の変化に与える影響を検討する。【方法】近年我々は48時間以上の人工呼吸が見込まれる成人患者を対象とし、超音波装置を用いて人工呼吸開始1、3、5、7日目の横隔膜厚を測定した。今回、先行研究の対象について人工呼吸器設定、呼吸パラメータ、A/C開始後48時間までの調節呼吸比率(実測呼吸回数が設定換気回数に一致していた時間比率)を調査した。調節呼吸比率が25%未満(Low群)と25%以上(High群)で横隔膜厚の変化を比較した。【結果】従圧式A/Cで管理された54例(64±12歳、APACHEIIスコア25±7、P/F比273±104 mmHg)について検討した。横隔膜厚は、1、3日目は54例(100%)、5日目38例(70%)、7日目24例(44%)で測定された。横隔膜厚の変化(入室時比)は、6例(11%)で10%以上増加し、8例(15%)で変化なく、40例(74%)で10%以上減少した。7日目までの横隔膜厚はHigh群で変化なく(-2.5%, 95% CI [-6.3%, 1.3%], p = 0.31)、Low群で有意に減少した(-7.4%, 95% CI [-10.1%, -4.6%], p<0.001)(図)。【結語】A/C中に横隔膜は高率に萎縮し、萎縮はA/C開始後早期の低い調節呼吸比率に関係した。A/Cの補助呼吸には横隔膜傷害的な要因がある可能性が示唆された。