[O84-4] 長期挿管症例における抜管後の呼吸管理法 -酸素療法 vs HFNC vs NPPV-
【はじめに】近年抜管後にHigh Flow Nasal Cannula(以下HFNC)やNPPVを導入することで抜管後呼吸不全を予防できるとの報告が散見される。しかし挿管期間が長期化した症例においてもHFNCやNPPVで抜管後呼吸不全を予防できるかどうかは明らかではない。当院ICUの長期挿管症例における抜管後の呼吸管理法について後ろ向きに調査し、それぞれの予後を比較した。【対象】2017年9月~2018年5月に当院ICUに入室となり、4日間以上の挿管管理を施行された後、少なくとも一度は抜管に至った全47症例。【結果】抜管後の呼吸管理法は酸素療法:21例(44.7%)、HFNC:14例(29.8%)、NPPV:12例(25.5%)であった。挿管期間は酸素療法群:7.6±3.2日、HFNC群:7.2±3.3日、NPPV群:7.2±5.8日で各群間に有意差はみられなかった。再挿管率は酸素療法群:2/21(9.5%)、HFNC群:1/14(7.1%)、NPPV群:1/12(8.3%)で各群間に有意差はみられなかった。ICU入室期間は酸素療法群:12.0±6.9日、HFNC群:10.3±5.6日、NPPV群:10.1±6.4日、入院期間は酸素療法群:42.4±29.1日、HFNC群:65.4±47.1日、NPPV群:59.4±42.8日であり、それぞれ各群間に有意差はみられなかった。院内死亡率は酸素療法群:1/21(4.8%)、HFNC群:0/14(0.0%)、NPPV群:3/12(25.0%)であり、NPPV群はHFNC群と比べて有意に高かった(P=0.047)。【まとめ】長期挿管症例における抜管後の呼吸管理法については、NPPV群で死亡率が高くなる傾向にあったが、再挿管率は差がなかった。長期挿管症例の抜管後呼吸不全はHFNCやNPPVでは予防できない要因で生じているためかもしれない。症例数をさらに増やして検討する必要がある。文献的考察も踏まえて報告する。