第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 症例

[O86] 一般演題・口演86
呼吸 症例05

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:大藤 純(徳島大学病院 救急集中治療部)

[O86-4] 外傷性気胸に対してのPEEPのあり方(食道内圧導入例を検討して)

宮内 清司, 勝原 和博, 武田 哲二 (愛媛県立新居浜病院 東予救命救急センター)

【背景】人工呼吸器を要する気胸に対してPEEPがどのような立場であるかは議論がある。これは体位ドレナージなどに制限のある外傷症例で問題になりやすい。【目的】外傷症例においての食道内圧を使用した症例を検討し、高いPEEPの影響を評価する。【方法】当院で食道内圧によるPEEP設定を行った外傷性気胸を伴う4例を後ろ向きに観察検討する。【結果】4例は全て交通外傷で20歳代の若年が1例、75歳以上の高齢者が3例であった。食道内圧開始時に既知の気胸については胸腔ドレナージが開始されており、そのうち2例ではリークが持続していた。1例については体側にoccult pneumothoraxが存在したがドレナージは行っていなかった。食道内圧を参照し14―20cmH2OのPEEPが付与された。リークの消失していた症例でリークの出現はなく、リークが残存していた2例も4日目と10日目にリークが消失した。胸腔ドレーン留置と食道内圧計測を同日に開始した1例でドレーン留置後のレントゲンで気胸の残存がみられドレーンの追加を要したが留置後すぐにリークは消失しPEEPとの関係は不明であった。【考察】外傷性の気胸の患者に対して食道内圧を参照して高いPEEPを与えた症例群であるが、気胸の再発はなく緊張性気胸、酸素化の悪化などの合併症はみられなかった。ドレーンを留置していれば外傷性気胸を有する患者にも高いPEEPを与えることは可能であると考えられる。これには食道内圧を参考にすることでのコンプライアンスの改善が駆動圧を下げることにつながり、それが肺保護に繋がったという機序が考えられる。食道内圧を計測しない環境での高いPEEPについては別に検討が必要である。【結語】食道内圧を計測すれば外傷性気胸の患者に対しても高いPEEPを与えることができる。ただし食道内圧を計測しない場合については他の検討が必要である。