[O86-5] 重症筋無力症の抜管後、Dream wearの活用が早期リハビリテーション及びADL拡大につながった症例
【背景】抜管後の呼吸補助としてNPPV使用のエビデンスは確立されている。しかし、特に呼吸筋が低下した症例はCPAPやHFTでは呼吸を維持できないことがある。そのためプレッシャーサポートにより換気量が必要な場合は、口鼻を覆うフルフェイスマスクが選択されるが、嚥下訓練やADL拡大に向けた早期リハビリに対しては制限となる。【目的】抜管後のNPPV管理において、Dream wearネーザルマスクを活用することで早期リハビリテーションやADLの拡大につながった症例を経験したので報告する。【使用機器】フィリップスレスピロニクス社製人工呼吸器Trilogy100、NPPV用マスク: Dream wearネーザルマスク(以下Dw)、Amara view フルフェイスマスク(以下Av)【症例・経過】20代女性、身長161cm、体重56kg。呼吸苦のため近医受診、酸素化低下で診察時SpO2 78%(RA)、CO2貯留でNPPV管理となり当院へ転院搬送となった。BT37.1 BP113/49、HR72、SpO2 99%(FiO2:0.4、IPAP/EPAP:14/4)。意識清明で指示は入る。身体所見は眼瞼下垂、右眼球外転障害、呼吸筋力低下が目立っていたが、四肢筋力や嚥下機能は保たれていた。病歴より重症筋無力症のクリーゼが疑われ、NPPVでは呼吸が保てず、また精査する必要あり挿管管理となった。入院後IVIg療法、PSL開始するも第7病日は呼吸筋の回復は認めず、またCPAPではCO2は貯留し、頭痛、嘔気を伴った。第12病日、抜管後NPPV管理としAvにて陽圧換気を要したが、早期リハビリの介入とADL拡大のためDwへ変更。pH維持できる範囲のPaCO2の貯留は容認し、また本人の希望もありDwを継続使用とした。夜間入眠時は開口するためAv使用で換気保障し、日中はDw、夜間入眠時はAvへ、マスクローテーションとした。第19病日開始の血漿交換にも奏効し、第28病日NPPV離脱、room airで呼吸苦なく経過、第41病日に退院となった。【考察】ネーザルマスクは開口によりリーク量が増え換気量低下をきたしやすい。また陽圧換気が鼻へ集中することで、耳管開放症を呈する患者ではIPAP及び吸気時間を調整する必要がある。しかし、S/Tモード使用時のマスクローテーションに活用することで、患者により最適でストレスを軽減する有効なマスクの選択肢となりうる。【結語】抜管後NPPV管理下でネーザルマスク、Dream wearを活用したことで、より早期なリハビリの介入を可能にし、ADLの拡大により患者ストレスの軽減につながった症例を経験した。