第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 研究

[O87] 一般演題・口演87
循環 研究03

2019年3月2日(土) 14:50 〜 15:50 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:井口 直也(大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学講座麻酔・集中治療医学教室)

[O87-6] 院外心肺停止(OHCA)蘇生後患者の急性期高次脳機能障害の検査バッテリーにおける検討

水野 篤 (聖路加国際病院 循環器内科)

【背景】心肺蘇生後(OHCA)患者の蘇生率は向上しているが, 生存率に加えて高次脳機能障害による社会復帰率が低い。我々の研究では、高次脳機能障害にいより社会復帰の妨げとなっていることが示唆されているが、実際に急性期においても高次脳機能障害の回復過程に関しては変化が大きく評価が難しい。【目的】OHCA患者の急性期高次脳機能検査バッテリーの継時的変化について分析を行う.【方法および結果】我々は、過去2012-2014年の18名のOHCA患者の急性期高次脳機能検査バッテリーの継時的変化について分析を行った。後方視的に高次脳機能検査のスコアを分析した.評価には,FIM認知項目,高次脳機能チェックリスト(当院作成),CAS(面接による評価スケール),HDS-R,RCPM,仮名拾いテスト,三宅式言語記銘検査,Rey複雑図形,順唱,逆唱,TMT,STROOPを用いた.各検査のスコアが年齢別基準点(もしくは当院で設定した基準)に50%の症例が達成するまでの日数(以下達成日数)をKaplan-Meierの生存曲線で分析した.達成日数が発症から12日以内であったのは,HDS-R(25点以上),RCPM(30点以上),STROOP,順唱,逆唱であった.認知FIM(30点以上)が15日,三宅式有関係対が16日,CAS(5点以下)が17日,HDS-R(28点以上)が19日,仮名拾いテストとRey(30分後再生)が21日,TMT(B-A35秒以下)が29日,三宅式無関係対は60日であった.HDS-R,RCPM,STROOPは比較的早期から改善するのに対し,仮名拾いテスト,TMT,Rey,三宅式無関係対は遅れて改善することが分った.発症から1カ月程度で概ね高次脳機能は改善し自宅退院可能となるが,記銘力の低下は最も長期に残存し,復職を目指す場合に特に重要となることが示唆された。今回、急性期高次機能障害の検査バッテリーの特徴について2018年7月までの120例を検討し報告する。