第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O93] 一般演題・口演93
感染・敗血症 研究05

2019年3月2日(土) 10:15 〜 11:05 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:佐藤 ルブナ(公立大学法人福島県立医科大学附属病院救急医療学講座)

[O93-2] 持続的腎代替療法は敗血症診断におけるプレセプシン値に影響するか?

星野 あつみ, 佐藤 紘一, 後藤 保, 濱上 知宏, 藤崎 修, 松井 大作, 大江 崇史, 番匠谷 友紀, 上田 泰弘, 小林 誠人 (公立豊岡病院 但馬救命救急センター)

【背景】プレセプシンは敗血症マーカーとして使用されている糖蛋白であるが、腎機能障害例では上昇し、血液透析(HD)では一部除去されることが知られている。多臓器不全患者では腎機能障害に対して持続的腎代替療法(CRRT)を施行することがあるが、CRRT施行中のプレセプシン値のデータはこれまでなく、CRRT中のプレセプシン値を敗血症鑑別に使用できるかどうかは不明だった。【目的】腎機能障害を合併した敗血症症例においてCRRTがプレセプシン値に与える影響を検討し、CRRT施行下でもプレセプシンが敗血症診断に有用であるかどうかを示す。【方法】2015年3月1日から2018年4月30日の間に当センターでプレセプシンを測定され、その後Sepsis-3で敗血症と診断された症例を対象とした。プレセプシン測定時にCRRT施行中であった「CRRT群」とそれ以外の「非CRRT群」の2群に分け、SOFA各項目の点数から算出した傾向スコアでマッチングを行い、腎機能を含む重症度を揃えてプレセプシン値を比較した。なお維持透析症例とプレセプシン測定時に血漿交換・経皮的心肺補助・エンドトキシン吸着療法を施行していた例は除外した。【結果】対象となる敗血症症例は156例で、CRRT群20例、非CRRT群136例だった。両群間で年齢、性別、eGFRには有意差を認めず、SOFAスコアはCRRT群と非CRRT群で13.5 vs 6 (P<0.01)と有意な差を認めた。SOFAの臓器別スコア6項目から傾向スコアを算出しマッチングを行ったところ、CRRT群20例に対し非CRRT群20例が得られた。マッチした両群間で年齢、性別、eGFR、SOFAスコア、死亡率に有意差はなく、敗血症診断時のプレセプシン値はCRRT群2118pg/mLに対し非CRRT群1238pg/mL(P=0.341)で有意差はなかった。CRRT開始からプレセプシン測定までの時間は中央値で26.6時間だった。【結論】CRRTはプレセプシン測定値に影響を及ぼさず、プレセプシン値の評価は腎機能に応じて行えば良いことが示唆された。