第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(ポスター発表)

消化管・肝・腎

[P19] 一般演題・ポスター19
消化管・肝・腎01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場19 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:木村 友則(東京女子医科大学八千代医療センター救急科・集中治療部)

[P19-2] 重症膵炎急性期治療中、早期に仮性動脈瘤破裂をきたした1例

高橋 嶺央, 園生 智弘, 島田 敦, 本木 麻衣子, 中村 仁美, 奈良場 啓, 神田 直樹, 高橋 雄治, 橋本 英樹, 中村 謙介 (日立総合病院救命救急センター 救急集中治療科)

重症急性膵炎急性期治療中、早期に仮性動脈瘤破裂をきたした1例【背景】膵炎の約10%に仮性動脈瘤が合併すると言われているが、本症例のように急性期に仮性動脈瘤を合併することは珍しい。今回、重症急性膵炎発症後早期に仮性動脈瘤破裂をきたした1例を経験したので報告する。【症例】アルコール性肝障害のため近医かかりつけの60歳男性。徐々に増悪する心窩部痛と繰り返す嘔吐のため前医を受診し、造影CTから急性膵炎の診断(予後因子:0点、CT grade2)で前医入院となったが、入院後より乏尿が出現し全身管理が必要と考えられ当院当科救急搬送となった。転院後も循環動態を維持するために大量補液を継続したが、徐々に胸水貯留を認め呼吸状態が悪化したため挿管し呼吸管理を行った。挿管管理の上で、翌日より循環不全に伴いノルアドレナリン必要量が増加し尿量減少も見られたためPMX-DHP・CHDFを使用し、発症から第3病日より膵動注療法(ナファモスタット240mg/日、イミペネム1g/日)を開始した。その後、経過は順調と考えら第7病日に抜管したが、第8病日より発熱・上腹部痛が見られた。バイタルサインは大きな変動は見られなかったが症状が持続するため第10病日に造影CTを施行したところ、膵周囲に大量の液体貯留がみられた。これまでに仮性瘤は指摘されていないが、背側膵動脈からの血管外漏出像を認め仮性動脈瘤破裂が疑われた。同日、IVRにより止血は得られたが、翌第11病日に新規に血管外漏出像を認めた。IVRや外科的処置も含め止血は困難と考えられ対症療法を継続したところ全身状態は安定したため、第13病日に当院消化器内科へ転科となった。【考察】本症例は、急性膵炎の急性期治療中、比較的早期に仮性動脈瘤破裂による出血をきたした。仮性動脈瘤破裂による死亡率は約37%との報告もあり、重症膵炎の管理を行うICUでは早期発見・早期治療が重要である。仮性動脈瘤はやや男性に多く、一般的に急性膵炎発症後3~5週間後に発症することが多いとされている。今回の膵動注療法のカテーテル先端部と仮性動脈瘤破裂のあった背側膵動脈は離れており,膵動注療法との関連も文献的には明らかではない。重症膵炎の管理に際しては稀ではあるが本症例のように早期から仮性動脈瘤形成・破裂をきたす可能性を念頭に置く必要がある。また、仮性動脈瘤発症の予測・予防的介入の可能性についても文献的考察を踏まえて報告する。