[P22-4] Marchiafava-Bignami diseaseにリフィーディング症候群を合併した1例
Marchiafava-Bignami disease(以下MBD)はアルコール関連性脳症であるが、病態は明らかにされていない。MBDの診断後、十分に注意した制限栄養投与にもかかわらずリフィーディング症候群を合併した症例を経験したので報告する。【症例】42歳女性。既往にアルコール依存症があり、発熱と意識障害を主訴に入院となった。来院時現症:意識GCS E4V2M5、血圧128/83 mmHg、心拍数110 rpm、呼吸数28 回/min、体温38.6 ℃、SpO2 100% (5lO2)であった。筋硬直を認め、入院後ミオクローヌス、深部腱反射亢進、左右の眼球運動の乖離が明らかとなった。血液生化学検査: WBC 13000 /μL、CRP 20.05 mg/dl, PCT 0.58 ng/ml, CPK 1477 IU/L, MGB 1562 ng/mL, Amy 298 IU/L, Lip 384 IU/L、髄液検査では髄膜炎は否定的であった。頭部MRI拡散強調像で脳梁膨大部に限局した高信号域を認めた。体幹部造影CTでは膵は尾部を中心に腫大し、周囲に脂肪織濃度上昇と液体貯留を認めた。また両側肺動脈に造影欠損認め、肺塞栓が疑われた。意識障害の原因をMBDと判断し、ビタミンB大量療法を開始した。第1病日より5 kcal/kg/dayに制限した経腸栄養を開始したが血中無機リン濃度は徐々に低下し十分なリンの補充療法にも関わらず、第6病日には0.9mg/dlと最低値を記録した。第3病日に心原性ショック状態となり、同時にたこつぼ型心筋症を呈し、肺水腫となった。以上の所見と乳酸値上昇や筋逸脱酵素上昇を合わせてリフィーディング症候群と診断し、ミネラルを補正しながらpermissive underfeedingを継続した。第17病日に人工呼吸から離脱し、意識状態はほぼ清明となった。【結論】MBDは低栄養を基礎に発症することが多く、十分に注意した制限栄養投与によってもリフィーディング症候群を合併する可能性を考慮した診療を要する。