第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

新生児・小児

[P24] 一般演題・ポスター24
新生児・小児02

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場4 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:谷 昌憲(埼玉県立小児医療センター集中治療科)

[P24-4] 幼児の神経芽腫に合併した可逆性脳血管攣縮症候群の1症例

土岐 崇幸, 干野 晃嗣, 武田 圭史, 西川 直樹, 斉藤 仁志, 森本 裕二 (北海道大学病院麻酔科)

【背景】可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome, RCVS)は雷鳴頭痛(thunderclap headache, TCH)を主徴とし、多くは予後良好な疾患群である。20-50歳の女性に好発し、産褥期や血管作動薬などとの関連が指摘されているが幼児の報告は少ない。今回、神経芽腫にRCVSを合併した幼児症例を経験した。【臨床経過】2歳女児。身長95cm、体重13.4kg。既往発達歴に特記すべき事項なし。入院3週間前より時折嘔吐を認めていたが、入院当日視線が合わなくなったため救急搬送された。血圧214/143mmHg、心拍数150-220/minの高血圧と頻脈を認め、contrast-enhanced computed tomographyで左腎動静脈を巻き込む後腹膜腫瘤を認めた。徐々に意識障害が進行したため、ICU適応と判断され当院へ転院搬送となった。ICU入室時はGCS E1VTM1の意識障害、血圧61/31mmHg、心拍数240/minの低血圧と頻拍を認めた。採血では高カテコラミン血症を呈していた。ICU入室後に行なった生検で神経芽腫と診断された。血圧は補液で改善したが、意識障害が遷延し第3病日に全身強直性間代性けいれんをみとめたため画像検索を行なった。magnetic resonance angiography (MRA)では前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈で不整な狭窄所見を認め、magnetic resonance imagingでは可逆性後頭葉白質脳症に非典型的なapparent diffusion coefficientの低下や拡散強調像での高信号を認めたため、RCVSの診断となった。フェノバルビタール内服でけいれんの再発は認めなかったが、意識障害は改善しなかった。第8病日に撮像したMRAでは脳血管攣縮所見の改善を認めたが、脳萎縮は進行した。【結論】幼児の神経芽腫にRCVSを合併し、意識障害が遷延した症例を経験した。幼児の意識障害でTCHを認めなくてもRCVSは考慮すべき疾患であると考えられた。