第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P27] 一般演題・ポスター27
感染・敗血症 症例06

2019年3月1日(金) 14:00 〜 15:00 ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小谷 祐樹(医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 集中治療科)

[P27-1] 劇症型溶連菌感染症5例の検討

箕輪 啓太, 八幡 宥徳, 松室 祐実, 榎原 巨樹, 藤本 善大, 香村 安健, 堀口 真仁, 安 炳文, 竹上 徹郎, 的場 裕恵 (京都第一赤十字病院 救急部)

劇症型溶連菌感染症(STSS)は突発的に発症し、急速に多臓器不全に進行する溶血性連鎖球菌による敗血症性ショックの状態である。STSSの致死率は約30-40%とされ、多くは発症後数日で死亡する。今回、当院で経験したA群またはG群によるSTSSの5例について後方視的に臨床所見および治療成績を検討し、文献的考察を踏まえて報告する。平均年齢は58.4歳(32歳-87歳)。全症例とも敗血症性ショックの状態であり、循環維持のためには輸液に加えて昇圧剤を使用した。人工呼吸器管理は1例、腎代替療法を施行した症例はなかった。培養結果は血液培養陽性が3例、創部培養陽性が2例、尿培養が1例、喀痰培養が1例(重複あり)。溶連菌の血清型はA群3例、G群2例。5例中2例は急激な経過をたどって死亡し、他3例は救命しえた。救命例はいずれも60歳未満で、STSS診断基準の臓器障害7項目のうち2または3項目のみと臓器障害が少ない段階で治療介入できた事、軟部組織炎を合併していなかった事、などが救命できた要因と考えられる。死亡例は下肢の軟部組織炎を呈しており、創部培養からA群、G群が各々検出された。壊死性筋膜炎は外科治療までに24時間以上かかった症例は24時間以内の症例に比して死亡率が9.4倍になると報告されており、自験例ではそれぞれ4時間、24時間であった。前者に関してはご家族の希望で手術施行しなかったこともあり救命できず。後者に関しては治療まで時間を要してしまっている。また補助的診断ツールのLRINEC scoreはそれぞれ来院時2点、24時間後10点と来院時4点、12時間後9点であり、早期診断には有用とは言い難いものであった。STSSは早期診断、早期治療で救命可能な疾患であるが、軟部組織炎合併例は死亡率が高く、抗菌薬などの内科的治療に加えて外科的治療も必要となってくる。外科的治療に関しては速やかな判断が必要であり、疑診した段階で整形外科や皮膚科など専門科と協議しながら治療の必要性について検討していく必要がある。