第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

血液・凝固 症例

[P30] 一般演題・ポスター30
血液・凝固 症例03

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:40 ポスター会場10 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:佐々木 庸郎(公立昭和病院救命救急センター)

[P30-1] 劇症型A群レンサ球菌感染症「分娩型」に血栓性微小血管症を合併した一例

山根 光知, 青山 正, 竹中 阿結, 桃原 寛典, 野々垣 幹雄 (市立四日市病院 麻酔科)

劇症型A群レンサ球菌感染症「分娩型」は急激に症状が進行し、母子共に死亡率が高く救命困難な事もまれではない。今回、迅速な対応により、緊急帝王切開、集学的治療を行うことで救命できた、劇症型A群溶連菌感染症「分娩型」にTMAを合併した症例を経験したため報告する。 症例は40歳 妊娠37週の経産婦。前医で血小板の低下(4.4万)、鮮血の出血、腹壁の板状硬を認め、HELLP症候群、常位胎盤早期剥離の疑いで転院搬送となった。手術室搬入時、妊婦は意識レベル低下を認め、全身麻酔下に緊急帝王切開術を行った。高度のフィブリノーゲン低値、血圧低下、血小板減少、高度の溶血、破砕赤血球を認めたため、HELLP症候群、TTP、atypical HUS等のTMAを疑い集中治療を行った。TMAに対して、ICU入室後より連日5日間血漿交換を行い、急性腎不全に対して腎代替療法、DICに対して抗DIC治療を継続した。また、先行する家族内で流行していた上気道症状のエピソードがあったため、溶連菌感染症を疑い抗菌薬治療を行った。胎盤のグラム染色や各種培養結果、及び臨床経過から劇症型A群溶連菌感染症「分娩型」と診断された。経過と共に、昇圧剤も減量でき、術後4日目に抜管となった。ICU入室後、5日目に一般病棟へ転棟となり、術後19病日、独歩にて退院となった。劇症型A群溶連菌感染症「分娩型」にTMAの合併、DICへと進展した症例の術中、術後集中治療管理を経験した。迅速な対応により救命できるため、妊婦の術後集中治療を要する緊急疾患の一つとして、日々の診療にあたるべきである。