[P31-3] 敗血症に合併した心房細動に対してエドキサバンを導入し、腸腰筋血腫を生じた一例
【背景】エドキサバンは新しい抗凝固剤の一つであり、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症予防などに対して使用される。しかし、その使用に際し出血性合併症を生じることもある。今回、敗血症に合併した心房細動患者に対してエドキサバンを導入し、腸腰筋血腫を生じた症例を経験した。同薬剤の副作用としての腸腰筋血腫は稀と考えられるため報告する。
【臨床経過】80歳、男性。生来健康である。某日、嘔気を自覚し自宅内で動けなくなっていたところを妻が発見し、救急要請した。搬送時、血圧158/95mmHg、心拍数106/分、呼吸数20/分、体温37.7℃、SpO293%、GCS E3V5M3であった。血液検査ではプロカルシトニン13.04ng/mlと上昇を認め、CT検査では消化管に炎症所見を認める以外に明らかな所見を認めなかった。感染巣は不明であったが敗血症の疑いでICUに入院とし、抗菌薬治療を開始した。また、初療時は洞調律であったが来院約2時間後には心房細動に変化し、収縮期血圧70mmHg程度と低下したため、一日間のみノルアドレナリンを使用した。その他の治療として、急性期DICスコアが7点とDIC診断基準を満たしていたため、トロンボモジュリンを使用した。第5病日、全身状態は改善し退院調整も開始していたが心房細動は継続していたため、エドキサバンを導入した。第9病日、38℃の発熱と股関節の痛み、歩行困難を訴えた。感染の再燃も疑ったが各種検査の結果は否定的であり、両側腸腰筋に血腫を生じていることが判明した。エドキサバンによる合併症と判断し、同日よりエドキサバンの内服を中止し保存的加に経過観察とした。第22病日、CT検査の結果、血腫は縮小傾向で全身状態も改善傾向であったため退院可能と判断し、第24病日、独歩で退院した。
【結論】敗血症に合併した心房細動に対し、エドキサバン導入後に腸腰筋血腫を発症した症例を経験した。敗血症ではDICを合併し、凝固能異常をきたすことがある。また、併用薬として凝固能に影響を及ぼす薬剤を使用することもある。さらに、腎機能障害などにより薬物動態が変動する可能性がある。敗血症患者ではこれらの要因が複合し、新規に抗凝固剤を導入する際に予期せぬ出血性合併症を生じ易い状態となっている可能性があるため注意が必要である。
【臨床経過】80歳、男性。生来健康である。某日、嘔気を自覚し自宅内で動けなくなっていたところを妻が発見し、救急要請した。搬送時、血圧158/95mmHg、心拍数106/分、呼吸数20/分、体温37.7℃、SpO293%、GCS E3V5M3であった。血液検査ではプロカルシトニン13.04ng/mlと上昇を認め、CT検査では消化管に炎症所見を認める以外に明らかな所見を認めなかった。感染巣は不明であったが敗血症の疑いでICUに入院とし、抗菌薬治療を開始した。また、初療時は洞調律であったが来院約2時間後には心房細動に変化し、収縮期血圧70mmHg程度と低下したため、一日間のみノルアドレナリンを使用した。その他の治療として、急性期DICスコアが7点とDIC診断基準を満たしていたため、トロンボモジュリンを使用した。第5病日、全身状態は改善し退院調整も開始していたが心房細動は継続していたため、エドキサバンを導入した。第9病日、38℃の発熱と股関節の痛み、歩行困難を訴えた。感染の再燃も疑ったが各種検査の結果は否定的であり、両側腸腰筋に血腫を生じていることが判明した。エドキサバンによる合併症と判断し、同日よりエドキサバンの内服を中止し保存的加に経過観察とした。第22病日、CT検査の結果、血腫は縮小傾向で全身状態も改善傾向であったため退院可能と判断し、第24病日、独歩で退院した。
【結論】敗血症に合併した心房細動に対し、エドキサバン導入後に腸腰筋血腫を発症した症例を経験した。敗血症ではDICを合併し、凝固能異常をきたすことがある。また、併用薬として凝固能に影響を及ぼす薬剤を使用することもある。さらに、腎機能障害などにより薬物動態が変動する可能性がある。敗血症患者ではこれらの要因が複合し、新規に抗凝固剤を導入する際に予期せぬ出血性合併症を生じ易い状態となっている可能性があるため注意が必要である。