[P32-6] 母体急変時における当院麻酔科医とICUの役割
【はじめに】当院のICUは8床で、厚生労働省の特定集中治療室管理の基準を満たし、麻酔科専門医が中心となり年間約600件の入室に対応している。産婦人科領域全体の入室症例は以前に比べ減少しているが、産後出血など周産期に関係する症例は増えている。【目的・方法】過去5年の産婦人科のICU入室症例(産科症例)を検討し、当院における母体急変時の麻酔科医とICUの今後のより良い対応を考えたい。【結果】過去5年における産婦人科のICU入室件数は71件。そのうち母体急変などの産科症例は9例(8例は分娩後出血で、1例は子癇発作)で、その他は婦人科手術に関連するもの(長時間や大出血の可能性が考えられた子宮全摘出・付属器摘出・リンパ節郭清術、術後透析を必要とした手術)であった。【考察・まとめ】産婦人科のICU入室例の減少は、子宮全摘術が腹腔鏡で施行されるようになり、(以前のような開腹手術で大出血するような可能性が少なくなり)、予定入室がなくなったことによる。当院では、年間500~600件の分娩があり、約20~25%帝王切開が行われ、2015年より無痛分娩を麻酔科医が中心となり始動している。産科病棟のスタッフ(産科医師、助産師、看護師)とコミュニケーションをとる機会が増えたおかげで、分娩後出血などの母体急変などに対して、麻酔科医の迅速な介入でスムーズな対応ができるようになったと思われる。母体急変は初期対応のスピードや内容次第で予後が変わる。幸いなことに、当院には麻酔科主導のICUが存在する。母体急変時の対応などの病棟スタッフへの教育なども含め、周産期領域(帝王切開術後含む)にも麻酔科医が積極的に関わっていきたいと思う。