[P34-3] 膵頭十二指腸切除術後の疼痛管理に両側持続傍脊椎ブロックが奏功した一例
【症例】59歳男性。身長162cm、体重53kg。(既往歴)黄色靭帯骨化症。7年前に第10/11胸椎(Th)の椎弓切除術後。(入院後経過)膵臓癌に対し、膵頭十二指腸切除術を施行した。(麻酔方法)入院時、両下腿のしびれとCT検査で第7胸椎~第4腰椎レベルに黄色靭帯の骨化を認めており、神経症状の増悪を懸念し硬膜外麻酔は施行せず、全身麻酔に両側持続傍脊椎ブロック(paravertebral block;PVB)を併用した。全身麻酔導入後、右側臥位をとり、超音波ガイド下でTh9/10から硬膜外針を傍脊椎腔へ刺入した。0.375%ロピバカインを20mL投与後、傍脊椎腔へ硬膜外用カテーテルを挿入し、頭側に進め留置した。左側臥位に体位変換し、同様にカテーテルを留置した。手術中に0.2%ロピバカイン4mL/時で両側持続投与を開始し、手術終了前に0.375%ロピバカインを両側に10mLずつ単回投与した。手術中はデスフルラン、0.1-0.2γのレミフェンタニルで維持した。手術終了後、抜管し集中治療室へ入室した。術後はフェンタニル20μg/hrを併用した。術後2日目(POD2)に離床開始し一般病棟へ転床、POD4にカテーテルを抜去しロピバカイン持続投与を終了した。安静時NRSはPOD4までは0-4、POD5・6には2-7、POD7・8には3-4、POD9以降0で推移した。両下肢のしびれの悪化や神経障害は認めなかった。
【考察】傍脊椎ブロックは、呼吸器外科手術では硬膜外麻酔と比較し鎮痛効果に差がなく、呼吸器合併症や低血圧、PONVの頻度が少ない事が明らかになっている。一方で開腹手術に関しては、報告が少ない。本症例では、両側持続PVBと少量のフェンタニル持続静注の併用で開腹術後に良好な疼痛コントロールが出来た。PVB終了翌日(POD5)には疼痛が増強しており、持続PVBが鎮痛に寄与していたと考えられる。硬膜外麻酔を施行せず、両下肢のしびれの悪化や神経障害を回避し、早期に離床が出来た。また、持続PVBが、術中・術後のオピオイドの減量に寄与した可能性がある。
【結語】黄色靭帯骨化症があり、硬膜外麻酔による神経症状の増悪が懸念される症例で、両側持続PVBを行い開腹術後に良好な疼痛管理が出来た一例を報告する。
【考察】傍脊椎ブロックは、呼吸器外科手術では硬膜外麻酔と比較し鎮痛効果に差がなく、呼吸器合併症や低血圧、PONVの頻度が少ない事が明らかになっている。一方で開腹手術に関しては、報告が少ない。本症例では、両側持続PVBと少量のフェンタニル持続静注の併用で開腹術後に良好な疼痛コントロールが出来た。PVB終了翌日(POD5)には疼痛が増強しており、持続PVBが鎮痛に寄与していたと考えられる。硬膜外麻酔を施行せず、両下肢のしびれの悪化や神経障害を回避し、早期に離床が出来た。また、持続PVBが、術中・術後のオピオイドの減量に寄与した可能性がある。
【結語】黄色靭帯骨化症があり、硬膜外麻酔による神経症状の増悪が懸念される症例で、両側持続PVBを行い開腹術後に良好な疼痛管理が出来た一例を報告する。