第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

循環 研究

[P35] 一般演題・ポスター35
循環 研究

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:澤村 匡史(済生会熊本病院集中治療室)

[P35-1] 静脈血-動脈血二酸化炭素分圧較差は慢性維持透析の心臓血管外科術後患者の予後予測に有用であるか

寺島 弘康, Yeap Uwen, 田口 学, 寺澤 篤, 棚橋 順治, 杉本 憲治, 高須 宏江 (名古屋第二赤十字病院 麻酔・集中治療部)

【背景】現在、心臓血管外科術後患者の組織酸素需給バランスの指標として、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)の使用が広く普及している。しかし、慢性維持透析患者では透析シャントが存在するため、SvO2が必ずしも正しい組織酸素需給バランスを反映しているとは限らず、その評価は困難である。SvO2に代わる指標として、静脈血-動脈血二酸化炭素分圧較差(dCO2)が敗血症患者を中心に微小循環を反映する指標として報告されておりその有用性が期待されている。【目的】今回、dCO2が慢性維持透析の心臓血管外科術後患者の予後予測に有用であるかを検討した。【方法】2013年4月1日から2017年3月31日までの単施設後方視的観察研究。人工心肺下心臓血管手術後、ICUに入室した慢性維持透析患者55例を対象とした。dCO2はICU入室直後、同時期に動脈血と混合静脈血の血液ガス分析から測定された。dCO2≧8mmHgの群をH群、dCO2<8mmHgの群をL群と2群に分けた。主要評価項目を人工呼吸器装着時間とし、副次評価項目として術後12時間後のカテコラミンインデックス(CAI)・ICU滞在日数・主要合併症の有無・28日死亡率について比較検討した。両群間の比較は、マン・ホイットニーのU検定とχ二乗検定を用いた。各値は中央値(四分囲範囲)で表記し、P<0.05を有意とした。【結果】H群24例、L群31例を認めた。患者背景として年齢(H群vsL群75(68-77)vs 72(68-75)歳、P=0.32)、術前駆出率(53(39-63)vs 55(41-64)%、P=0.85)、 術直後SvO2(73.8(67.1-80.1)vs 75.5(71.3-79.5)%、P=0.36)、術直後乳酸値(15(11.7-17)vs 15(11-21)mg/dl、P=0.68)でありそれぞれ有意差を認めなかった。主要評価項目である人工呼吸器装着時間は両群で有意差を認めなかった(19.5(10.7-50.2)vs 16(6-26.5)時間、P=0.23)。副次評価項目である術後12時間後CAI(4.0(0.0-13.7)vs 3.65(0.7-5.7)、P=0.57)、ICU滞在日数(3.5(3.0-6.2)vs 3.0(2.5-4.0)日。P=0.13),主要合併症(4vs 1件、P=0.19)はそれぞれ有意差を認めなかった。両群とも術後28日以内に死亡を認めなかった。【結語】当院で施行された慢性維持透析の心臓血管外科術後患者において、dCO2は人工呼吸器装着時間、術後12時間後CAI、ICU滞在日数、主要合併症の有無と関連がなかった。dCO2は慢性維持透析の心臓血管外科術後患者の予後予測因子とし関連性が低い可能性があり、さらなる検証が必要である。