第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

循環 研究

[P35] 一般演題・ポスター35
循環 研究

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:澤村 匡史(済生会熊本病院集中治療室)

[P35-2] 急性大動脈解離患者の、術前後血中ビタミンC濃度の推移

岡本 靖久, 岩井 健一 (おおたかの森病院 麻酔科)

目的 近年の報告では、重症患者の血中ビタミンC濃度は低下しており、補充により予後の改善が出来る可能性が示唆されている。これまでの主たる研究対象は、敗血症、蘇生後の患者であるが、心臓手術患者も同様の虚血再還流ストレスを受けており、将来的なVitC補充療法の恩恵が期待される。だが、実際の心臓手術患者の血中濃度の推移報告は非常に少ない。よって今回、我々は、大侵襲手術の代表格である急性大動脈解離患者において、術前後のVitC変動を調査する事とした。方法; 大動脈解離で緊急手術となる患者を対象に、来院時(術前)、ICU入室時(術後)の2ポイントで、採血を行った。ビタミンCの正常基準値は、4.7~17.8μg/mlとした。結果; 5名の大動脈解離患者について検討をした。年齢は中央値78(76-81)歳で、女性が4名、発症から来院時までの時間は、5(4-6)時間であった。手術は全例で上行置換術が施行され、人工心肺時間の中央値は148(138-172)分であった。術後に2回目の測定がされた。ビタミンCの、術前中央値は、2.8(2.2-6.9)μg/ml、術後は、1.4(0.9-4.5)μg/mlであった。術前から、基準値以下の値を示したのは3例で、術後には5例全例が基準値以下まで低下した。術前後の低下率は、25%~91%まで幅広い変化を示した。今回は数が少ないので、メジャーアウトカムとの比較は行わなかった。結論; ビタミンCは、急性大動脈手術患者では、術前から低下が始まっており、術後は更に低下し、全例で基準値を下回った。今回の様な対象群の患者に対するビタミンC補充療法は、予後改善の手段として、今後検討すべき方法であることが示唆された。また、この結果を受け、現在我々の施設では心臓手術患者は、術中から積極的にビタミンC製剤を投与するプロトコルを導入しており、いずれ後方視でのデータを報告できればと考えている。