[P4-7] 術前の肺炎に対してVA ECMOを導入し、感染制御後に両方向性グレン手術を遂行し得た1症例
【背景】単心室症に対しては乳児期にグレン手術を施行し、フォンタン手術への前段階とする治療計画が一般的である。今回我々は、両方向性グレン手術待機中の右室低形成症候群患児が合併した肺炎に対し、抗菌薬による加療に加え、著明な低酸素血症とさらなる肺傷害回避のため、Veno-Arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation(VA ECMO)を導入し、感染制御後に手術を遂行し得た1症例を経験したので報告する。
【臨床経過】生後7ヶ月の男児、身長58cm、体重4.1kg。在胎36週6日で胎児機能不全に対する緊急帝王切開術により1879gで出生した。出生時に右室低形成、重症肺動脈狭窄、三尖弁狭窄、房室中隔欠損症を認め、喉頭軟化症による呼吸障害も合併していたため新生児集中治療室(NICU)に入室し、経鼻呼気吸気変換方式気道陽圧呼吸(nDPAP)管理とした。NICUで呼吸障害改善と体重増加を待って両方向性グレン手術を予定していた。しかし、経過中徐々に酸素需要は増大し、体重増加に伴う相対的肺血流低下を来たしていると考えた。日齢180頃から低酸素血症が顕在化し、日齢208に気管挿管、人工呼吸管理とした。その後、日齢210より炎症反応が上昇し、低酸素血症の原因として気道感染の関与も考えた。日齢212より抗菌薬治療を開始するも、吸入酸素濃度:1.0、動脈血酸素分圧:29mmHgと著明な低酸素血症が進行した。重度の凝固障害はなく、さらなる肺傷害回避を目的としてVA ECMOを導入し、肺炎治療に専念して集中治療室(ICU)に入室した。抗菌薬治療により感染制御ができたため、日齢216に両方向性グレン手術を施行した。酸素化は保たれていたため、同時にVA ECMOからも離脱した。術後人工呼吸管理を継続してICUに入室したが、術後4日目に抜管し、10日目にはICUから退室した。その後の経過は良好で、術後29日目(日齢245)に自宅退院となった。
【結論】本症例では、肺炎治療において人工呼吸管理が極めて困難であった。VA ECMO導入によりlung restとし、著明な低酸素血症を改善することで呼吸循環動態を安定化させ、肺炎に対する抗菌薬治療の時間を稼ぐことができた。結果として感染制御に成功し、グレン手術を遂行し得たことにより救命できた1症例であった。
【臨床経過】生後7ヶ月の男児、身長58cm、体重4.1kg。在胎36週6日で胎児機能不全に対する緊急帝王切開術により1879gで出生した。出生時に右室低形成、重症肺動脈狭窄、三尖弁狭窄、房室中隔欠損症を認め、喉頭軟化症による呼吸障害も合併していたため新生児集中治療室(NICU)に入室し、経鼻呼気吸気変換方式気道陽圧呼吸(nDPAP)管理とした。NICUで呼吸障害改善と体重増加を待って両方向性グレン手術を予定していた。しかし、経過中徐々に酸素需要は増大し、体重増加に伴う相対的肺血流低下を来たしていると考えた。日齢180頃から低酸素血症が顕在化し、日齢208に気管挿管、人工呼吸管理とした。その後、日齢210より炎症反応が上昇し、低酸素血症の原因として気道感染の関与も考えた。日齢212より抗菌薬治療を開始するも、吸入酸素濃度:1.0、動脈血酸素分圧:29mmHgと著明な低酸素血症が進行した。重度の凝固障害はなく、さらなる肺傷害回避を目的としてVA ECMOを導入し、肺炎治療に専念して集中治療室(ICU)に入室した。抗菌薬治療により感染制御ができたため、日齢216に両方向性グレン手術を施行した。酸素化は保たれていたため、同時にVA ECMOからも離脱した。術後人工呼吸管理を継続してICUに入室したが、術後4日目に抜管し、10日目にはICUから退室した。その後の経過は良好で、術後29日目(日齢245)に自宅退院となった。
【結論】本症例では、肺炎治療において人工呼吸管理が極めて困難であった。VA ECMO導入によりlung restとし、著明な低酸素血症を改善することで呼吸循環動態を安定化させ、肺炎に対する抗菌薬治療の時間を稼ぐことができた。結果として感染制御に成功し、グレン手術を遂行し得たことにより救命できた1症例であった。