第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(ポスター発表)

消化管・肝・腎

[P40] 一般演題・ポスター40
消化管・肝・腎03

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場20 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:金本 匡史(群馬大学医学部附属病院 集中治療部)

[P40-7] アナフィラキシーに伴う薬物性急性肝不全、AKIに対して、PEとHF-CHDF、FFP補充が奏効した1例

長倉 知輝, 今泉 均, 関根 秀介, 齊木 巌, 沖田 綾乃, 内野 博之 (東京医科大学病院 麻酔科学分野)

【はじめに】アナフィラキシーはアレルゲン等の侵入により皮膚症状や呼吸器・循環器・消化器症状などのアレルギー症状が惹起され生命に危機を与え得る過敏反応で、血圧低下や意識障害を伴う場合はアナフィラキシーショックと定義される。ショックを伴わずに急性肝不全やAKIを合併することは稀である。今回、尿路感染症に対して使用した抗菌薬により紅斑、喘鳴に続発した急性肝不全、AKIに対して、PE、HF-CHDF、FFPの補充を行い、救命し得たので報告する。【症例】70代男性【既往歴】肺気腫、気管支喘息、2型糖尿病、腹部大動脈瘤術後【現病歴】神経因性膀胱で初めて自己導尿したところ発熱を認め当院泌尿器科来院。尿路感染症に対してPIPC/TAZを投与開始した。第2病日、発熱に対してアセトアミノフェンを投与した。第3病日、抗菌薬投与後から掻痒感を伴う紅斑と著明な呼気性喘鳴、40回/分の頻呼吸、82%のSpO2低下と、血圧低下を伴わない140/分の頻脈を認め、アナフィラキシーの診断でICU入室となった。被疑薬を中止し、呼気性喘鳴に対してサルブタモール吸入とMPSL、アミノフィリンを静注したが改善せず、人工呼吸を開始したところ、喘鳴と酸素化能(P/F ratio:413)は改善した。ICU入室時のWBC:8300/μl、CRP:12.4 mg/dl、PCT:25.22 mg/dlで、肝腎検査は異常なかった。第4病日、急性肝不全(意識:鎮静中、NH3:79mg/dl、AST/ALT:9457/3857 IU/l、PT:60%)、AKI(無尿:29ml/日、BUN:30.9 mg/dl、Cr:2.0 mg/dl)も出現した。CTでは肝の腫大とLDAを呈し劇症肝炎に矛盾しない画像所見であった。薬剤性の急性肝不全、AKIと診断し、リガンドである原因薬剤と肝障害因子の除去、肝機能の維持目的にPEとHF-CHDF(浄化量 25-30ml/kg/h)を直並列で2クール施行、FFPの補充も開始した。第6病日、肝機能、意識レベルも改善したためPEを終了し、CHDFとFFP補充のみを継続した。第7病日に抜管、第8病日にCHDFを離脱したが第10病日より血液透析を導入し、第12病日にICU退室となった。1ヵ月後の現在、一般病棟にて加療中である。【まとめ】アナフィラキシーに続発して生じた薬剤性急性肝不全、AKIに対して、PEとHF-CHDF、FFP投与が有効であったので報告した。