[P42-1] 当院ICUにおける早期離床・リハビリテーションの実施状況と問題点について
背景:ICUにおける救命率が向上する一方、ICU-acquired weaknessやせん妄といった、集中治療管理が身体精神機能に及ぼす悪影響が注目され、その対策としてABCDEバンドルや早期離床などの有用性が論じられて久しい。本年度の診療報酬改定においては、「多職種による早期離床・リハビリテーションの取組に係る加算」が新設され、医療経済面からも支援されるようになった。方法:そこで、ICU医師2名、集中ケア認定看護師2名、専任理学療法士1名、リハビリテーション科医師1名よりなる早期離床・リハビリテーションチームを組織し、これまで行ってきた床上運動・離床、経口摂取・嚥下訓練、脳卒中、心筋梗塞、大動脈解離、人工呼吸器離脱、呼吸理学療法などに係るリハビリテーション手順を再検討した上で、新たに早期離床・リハビリテーションプロトコルとして再構築した。また、早期離床・リハ計画書や実施内容・加算入力用テンプレートなどを整備し、5月より本格的な活動を開始した。入室後できるだけ早期にチームで検討した上で計画書を作成・署名し、入室後48時間以内に早期離床・リハを開始できた症例を加算対象とした。毎朝、多職種でカンファレンスを行い、前日までの進捗状況の共有と評価、及び当日の早期離床・リハの内容を確認し、専任理学療法士と担当看護師、内容によってはICU医師も参加し早期離床・リハを実施している。疾患別リハを同日に行うこともあるがその場合は点数の高い方のみを算定している。結果と考察:開始して2018年7月までの早期離床・リハ実施件数/ICU加算算定件数(実施率)は、495/658件(75%)と多くの症例で実施できているが、早期離床・リハ加算が算定できない症例も26/202人(13%)と少なからず存在し、その理由として、チームが揃わない、ICU加算対象外、週末連休中の入室のため48時間以内に開始できない、開始基準を満たさないなどであった。本発表では、当院ICUにおける早期離床・リハビリテーションの取組に係る実施状況と加算ルールの種々の問題点について論じる。