第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P42] 一般演題・ポスター42
チーム医療01

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:50 ポスター会場1 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:坂本 美賀子(済生会熊本病院)

[P42-3] 当院における早期離床・リハビリテーションの課題

原田 幸枝 (福井赤十字病院 集中治療室)

<背景>ICU-AWへの関心の高まりや鎮静管理の変化などから集中治療領域での早期リハビリテーションが注目されている。早期リハビリテーションを実施する事は患者のモビリティを高めることであり、患者を全人的に捉え心身面のケアをおこなっていく事であると言われている。当院においても早期離床・リハビリテーションチームを立ち上げ活動を開始することとなった。しかし、これまで当院のクリティカル領域ではリハビリテーションに注目したアプローチは実施されていなかったのが現状である。今後、チームが活動するにあたり、患者に安全で効果的なアプローチを実践するために当院の課題を抽出、対策を実施していくことが必要であると考えた。<目的>チーム活動前の当院ICUでの患者への援助の現状と当院ICU看護師のリハビリテーションに対する意識についての現状調査を行い、今後の当院ICUでの課題を抽出する。<方法>調査は、チーム活動前のICU看護師に対する意識調査とH30.8.15~9.15にICU入室した患者20名の看護記録の記載内容を調査する観察研究である。<結果>看護師は、患者の呼吸循環の状態や苦痛に応じてモビライゼーションを行っていたが、入室直後からリハビリテーションを意識して援助していた看護師は、21%であった。また、術後予定入室患者15例、予定外入室(特別な安静指示がない)患者5例について48時間以内に実施されている援助内容の調査を行った。術後予定入室患者に対して、不十分ではあるが頭部挙上や四肢運動等、何らかのレベル1(当院プロトコル)以上の援助が実施されているのは89%であった。予定外入室患者に対しては、褥瘡予防の体位変換は実施されていたが、レベル1と考えられる援助が実施された患者は5例中2例であった。<結論>リハビリテーションを意識して援助を行っている看護師は少数であったが、実際は術後患者に対してレベル1に相当する何らかの援助を行っている現状が分かった。患者を全人的に捉えたケアは、患者の主観的表現や捉え方によって大きく変化しさらに医療者側の主観的評価で進められる可能性もある。よって、患者に関わる全員が共通した認識を持ち、同じ治療やケアの方向を目指す必要があると言われている。当院では、患者の何を目指して援助を行っているか共通認識を持って実践できるような意識改革と具体的な方法の教育が必要であると考える。