第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P42] 一般演題・ポスター42
チーム医療01

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場1 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:坂本 美賀子(済生会熊本病院)

[P42-5] ARDSに対して人工呼吸器を装着している高度肥満患者の早期離床の1症例

渡邉 朋徳1, 森島 克明1, 渡邊 大輔2, 阿妻 伸幸2, 上田 脩平3, 山本 陸3 (1.順天堂大学 医学部附属 静岡病院 看護部, 2.順天堂大学 医学部附属 静岡病院 リハビリテーション科, 3.順天堂大学 医学部附属 静岡病院 一般外科)

【背景】近年、集中治療領域でのリハビリテーション(以下リハ)の早期介入が推奨されており、当院ICUにおいても入院より48時間以内のリハ介入が定着しつつある。しかし、当院ICUは複数科の患者が入院対象のOpen ICUであり、各医師とのコミュニケーション不足やリハの方針、目標の未統一といった問題点から、医師、看護師、理学療法士が連携したリハ介入が十分に行えていない現状にある。今回、ARDSにより人工呼吸器管理となった高度肥満症例を通して、ICUでのリハにおける看護師の役割として多職種の「調整役」が重要であることを認識したため以下に報告する。【臨床経過】40歳代女性。身長150cm体重90kg(BMI 40)。入院前ADL自立。今回、膵膿瘍のため入院し、第2病日ARDSに対する人工呼吸器管理が開始となった。看護師は患者の高度肥満、膵膿瘍とARDS遷延に伴う人工呼吸器管理の長期化により、患者のADLが低下するリスクが高いと考え、肺ケア、早期リハのため理学療法介入を担当医師へ提案。第3病日よりリハ開始。腹臥位実施するが、低血圧により鎮痛、鎮静不十分であり、長時間の実施が困難。介入効果も不十分であった。理学療法士は鎮痛・鎮静コントロールを行い腹臥位継続、または離床をする提案をするが、医師は全身状態の安定を優先し、現状治療継続の意向であった。そこで、看護師と理学療法士が患者の目標についてカンファレンスを行い、看護師が担当医師回診時にカンファレンスを徹底し、看護師、理学療法士の意向の情報共有と安静度の拡大を提案した。その後、第10病日より安静度が拡大し、車椅子乗車。第12病日より立位・足踏みを行い、第15病日より人工呼吸器を装着したまま医師付き添い介助歩行を開始。第17病日に人工呼吸器離脱。その後も順調に改善し、第31病日に自宅退院となった。【結論】本症例では、早期より離床したことで、身体機能の低下予防、人工呼吸器の離脱に有効であったと考える。しかし、医師と理学療法士で意向の違いがあり、患者のリハにおける目標が異なっていたことから、離床のタイミングが遅れた可能性があり、多職種が連携して患者中心の目標設定と目標の統一を行う必要があった。そのため、看護師が多職種間のコミュニケーション不足解消や患者中心の目標設定、統一を調整する役割を担うことが重要であり、患者に適切なケアを提供することができると考えられる。