第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

臨床薬理

[P45] 一般演題・ポスター45
臨床薬理

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場4 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:前田 幹広(聖マリアンナ医科大学病院薬剤部)

[P45-5] 群馬大学医学部附属病院集中治療室における注射薬配合変化回避に向けた取り組み

竹中 美貴1, 八島 秀明1, 三田 鈴音1, 中山 典幸1, 金本 匡史2, 阿部 正樹1, 日野原 宏2, 荒木 拓也1, 齋藤 繁2, 山本 康次郎1 (1.群馬大学医学部附属病院 薬剤部, 2.群馬大学医学部附属病院 集中治療部)

【背景】
集中治療室(ICU)では一つの点滴ルートから複数の薬剤が同時に投与される機会が多く、注射薬の配合変化に関する適切な情報管理が重要である。当院では過去の資料をもとに独自の配合変化表を作成し、配合変化の発生予防に努めているが、白濁・ルート閉塞によるトラブルが生じることもあり、更なる対応が必要である。
【目的】
注射薬の配合変化に伴うトラブルを防止するために、当院ICUで発生した配合変化事例について調査を行い、配合変化の防止を目的に配合変化表および薬品保管環境の改良を行った。
【方法】
院内におけるインシデント報告書を用い、2015年~2016年に当院ICUにて発生した注射薬の配合変化事例に関する発生要因を調査し、当院ICUの配置薬品および2016年度に使用された注射剤のうち、特にICUで使用頻度が高い注射剤、およびインシデントに関与していた薬剤を配合変化表の対象薬剤とした。各薬剤について薬剤名、規格、pH、配合を避けるべき薬剤を記載した。「配合を避ける薬剤」は製薬企業作成の配合変化表並びに各種書籍を参考にし、注射剤の混合条件や投与時間の条件によって閉塞・白濁・含量低下する可能性があるもの全てを記載した。また、以前の配合変化表に記載があるにもかかわらず、インシデント事例が多かった薬剤に対しては薬品棚に注意喚起を施した。2018年4月より新たに作成した配合変化表の運用を開始し、2018年の4~8月と2017年の4~8月のインシデント事例について比較した。
【結果】
2015年~2016年のインシデント報告において、ルート閉塞に関するトラブルとしては注射用ナファモスタットやソル・コーテフ注射用によるものが多かった。またルート内での外観的変化は生じないが、力価低下を生じる事例として、抗生剤とアミノ酸輸液の配合変化が多かった。これらの事例の約3割において、配合変化表に両剤もしくは一方の薬剤の記載がなかったため、新たな配合変化表に追記し、計138品目を記載した。新規配合変化表の導入後における配合変化のインシデント報告件数は2017年の7件に比べ、3件と減少した。
【結論】
インシデント報告書の分析は配合変化回避に有用な手段であり、その情報に基づいた定期的なツールのアップデートが必要である。今後は、配合変化情報を注射薬指示書に掲載できるようにシステムの改良を検討していきたい。