第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

安全・安楽

[P47] 一般演題・ポスター47
安全・安楽

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場6 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:宮原 聡子(大阪市立総合医療センター ICU1)

[P47-6] 患者が当事者となるインシデント発生状況

徳永 美和子 (公立学校共済組合 九州中央病院 HCU)

【背景】2025年問題で言われているように、A病院HCUでも患者の高齢化が進んでいる。患者の高齢化は同時に、2012年の認知症患者462万人が2025年には700万人になるとも予測され、以後も認知症患者数が増加することが示唆されている。このような認知症やせん妄を発症した患者はいろいろなリスクを抱えている。特に治療の為に挿入されたデバイスの自己抜去や転倒・転落は、患者の状態悪化や生命を危険にさらす可能性がある。【目的】患者が当事者となる「転倒・転落」「デバイスの自己抜去」の発生状況の傾向を明らかにすることで、危険性を予測できるのではないかと考えた。高齢者は、認知機能の低下や、視力低下、筋力低下、ADL低下などの身体的変化をきたしやすい。特に入院生活、安静期間が長くなるほど、その症状は強くなると考えられる。そのため、「年齢が高いほど」「入院期間が長くなるほど」、「転倒・転落」や「デバイスの自己抜去」が起きやすいのではないかと考える。【方法】A病院HCU内の平成28年度、29年度の2年間に発生した「転倒・転落」「デバイスの自己抜去」をインシデント報告書から後ろ向き調査方法で、それぞれ23件、20件を抽出した。そして65歳以上と65歳未満に区別後、「事故発生時のHCU在室日数」「勤務帯」「抑制の有無」「認知機能低下の有無」「経口摂取の有無」「性別」について単純集計とT検定で2群間比較を行った。そして「年齢」と「事故発生時のHCU在室日数」についてはpearsonの積率相関を用い傾向を求めた(EZR Version1.37)。【結果】1「事故発生時のHCU在室日数」は、65歳以上と65歳未満で有意差を認めた(p<0.01)。2患者の年齢と事故発生時のHCU在室日数については相関がみられた(相関係数=-0.469,95%信頼区間-0.755~-0.033,P値=0.0371)。3転倒・転落は、準夜帯に半数以上発生していた。4デバイスの自己抜去については、統計学的に有意なものはなかった。5デバイスの自己抜去は、深夜帯に多く発生していた。【結論】転倒・転落は、患者の年齢が高いほどHCU入室後早い時期に発生していた。デバイスの自己抜去については、年齢や時期などに関係なく、いつでもおこる可能性がある。