第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

呼吸 研究

[P48] 一般演題・ポスター48
呼吸 研究01

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:50 ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:下山 哲(自治医科大学附属さいたま医療センター救命救急センター)

[P48-1] マウス経口気管挿管に際する至適チューブ外径

野坂 宜之, Timothy R Crother, Shuang Chen, Moshe Arditi, 島田 賢一 (シダース・サイナイ メディカルセンター 小児科)

【背景】集中治療医学の発展において人工呼吸器を使用するマウス実験系の必要性は増大している。マウスの人工呼吸管理に際する気管チューブ管理の重要性はヒトと同一であり、マウスの安全性や実験結果に直結する。我々は最近、17 g以上の成マウスの経口挿管には約2 cmのチューブ挿入が妥当で、しかも足のサイズが至適挿入長の良い目安になることを発表した(Nosaka et al. Lab Anim 2018)。一方、至適な挿管チューブ外径に関する議論は限定的で、経験論に依存している。【目的】解剖学的解析に基づき、成マウスの至適な気管チューブ外径について一定の指標を示す。【方法】当施設動物実験委員会承認の実験で使用されたマウス(C57BL/6J、19.2-22.9 g)を用い、その気管組織切片を観察、解析した。【結果】ヒト成人と同じく気道の最細部は声帯である(図1)。非挿管の気管軟骨部の気管長径平均は984.4±124.3 μmであった。20ゲージ(G)カニュラ(外径1.1 mm)挿管像では極度に圧排された気道や微小出血を観察した(図2)。一方、24Gカニュラ挿管像はチューブと気管内壁の間に十分な空間的余裕を認めた(図3)。【結論】成マウスを使用して確実な換気とパラメーターの測定を期待する場合は20Gカニュラが妥当であると示唆された。一方で太径の挿管は圧迫による気管・声帯浮腫や外傷の危険性が容易に想像される。長時間の挿管の後、抜管を考慮する場合には24G(外径0.7 mm)などの細径カニュラが妥当かもしれないが、細径選択の際は挿入長やエアリークに伴う呼吸器設定の調整に注意が必要である。
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