第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(ポスター発表)

呼吸 研究

[P48] 一般演題・ポスター48
呼吸 研究01

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:下山 哲(自治医科大学附属さいたま医療センター救命救急センター)

[P48-2] 当院ICUにおける人工呼吸器関連事象(VAE)サーベイランスの現状と課題

橋本 優, 鈴木 理絵, 柿田 沙也加, 廣富 一真 (湘南藤沢徳洲会病院 看護部)

【はじめに】2013年米国の疾病予防センター(The Centers for Disease Control and Prevention:CDC)のNational Healthcare Safety Network(NHSH)は、人工呼吸器関連事象(ventilator-associated events以下VAE)サーベイランスを発表し、当院ICUでは2016年より運用を開始している。また、同時期より人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia以下VAP)予防バンドルを開始し、VAPの予防に取り組んでいる。開始から1年以上が経過し、当院ICUでのVAEサーベイランスの現状を踏まえ、今後の課題について検討した。【研究方法】2016年11月から2018年7月までにICUに入室し、人工呼吸器を装着して3日以上が経過した18歳以上の患者を対象とし、後ろ向きにVAEサーベイランスを行なった。また、ICU看護師を対象にVAP予防バンドルの勉強会を行い、人工呼吸器を装着している患者に毎日実施できているかを調査した。【結果】述べ入室患者数の4873名のうち、対象患者は149名であり、延べ人工呼吸器使用日数は1348日、使用比は0.28であった。VAEサーベイランスの結果、VACは16例、IVACは1例、PVAPは2例であった。感染率はVACで11.87/1000人工呼吸器使用日数、IVACで0.74/1000人工呼吸器使用日数、PVAPで1.48/1000人工呼吸器使用日数であった。VAP予防バンドルの遵守率は、人工呼吸器からの離脱の評価の項目が最も低く、次いで頭側の挙上、浅い鎮静管理の項目が低かった。【考察】日本環境感染学会の報告と比較して、VACの感染率は著しく高い結果となり、当院ICUの特徴として救急搬送後や院内の重症患者が入室することが関係していると考える。先行研究ではVAP予防対策のみではVAEを減らすことは困難であることが示唆され、今後はVACの発生要因について調査した上でVAEを減らす対策をする必要がある。また、VAP予防バンドルの遵守率を高めるために、人工呼吸器からの離脱の評価、頭側の挙上、浅い鎮静管理について対策を行うことで、PVAPを減らすことができる可能性がある。