第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

呼吸 研究

[P48] 一般演題・ポスター48
呼吸 研究01

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:下山 哲(自治医科大学附属さいたま医療センター救命救急センター)

[P48-4] ARDSにおける予後および患者背景因子の検討:単施設後方的観察研究

清水 優1, 木下 真央2, 三原 聡仁2, 橋本 悟2, 佐和 貞治1 (1.京都府立医科大学 麻酔科学教室, 2.京都府立医科大学附属病院 集中治療部)

我々は以前ARDSに対して肺保護戦略に基づく人工呼吸管理法の変化を単施設ICUにおいて検証した。実臨床では1回換気量6ml/kgの達成が非常に困難であったが、2005-2009年は40%、2014-2017年は23%に死亡率が低下していたことを認識した。【目的】本研究はARDSの28日、60日死亡に関連する因子を明らかにすることを目的とする。【方法】2014-2017年の4年間に人工呼吸管理を受けたARDS患者86人(平均年齢;67.2歳、男性62人、女性25人)を対象に、後方視的にデータを抽出した。患者背景や採血データ、重症度スコア(APACHE2、APACHE3)、ARDS発症時と24時間後の予測体重当たりの1回換気量、人工呼吸日数、28日と60日死亡の有無を調査した。【結果】28日死亡の有無の比較を患者背景となる因子において解析したところ、性別、身長、理想体重、重症度スコア、ARDS発症時と24時間後の予測体重当たりの1回換気量に差は認めず。一方、入室後24時間でのPaO2/FiO2(P/F)、最大呼吸回数、最大脈拍数、最大アルブミン値、年齢、人工呼吸器日数に有意な差を認めた。次に多変量解析により分析すると、最大呼吸回数(P=0.01, 95%信頼区間[0.75-0.96] , OR=0.84)、脈拍数(P=0.01, 95%信頼区間[1.01-1.07] ,OR=1.04)、最大アルブミン値(P=0.01, 95%信頼区間[1.94-62.5] ,OR=11.0)、人工呼吸器日数(P=0.02, 95%信頼区間[1.03-1.35] ,OR=1.18)が28日死亡に影響を与える因子であった。また60日死亡の有無の比較を同様に解析したところ、年齢、入室後24時間のP/F、最大アルブミン値、Bun値、最大呼吸回数、APACHE2、APACHE3に有意な差を認め、多変量解析により分析すると、P/F (P=0.02, 95%信頼区間[1.00-1.02] , OR=1.01) が60日死亡に影響を与える因子であった。【結論】今回の調査によりどのような患者背景、採血結果がARDSの死亡に影響を与えているのかを認識した。今までの結果をふまえて、さらなるARDSの治療成績の向上をめざす。