第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

家族支援

[P49] 一般演題・ポスター49
家族支援

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:50 ポスター会場8 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:川上 悦子(長崎大学病院看護部)

[P49-6] 院外ICUへの転院 症例報告

矢田 愛果 (信州大学医学部附属病院)

1,背景
ICUに入室している患者は病状が不安定なうえ、装着している機械も多いためICUからの直接転院は稀である。医療依存度が高く、一般病棟への転棟ができない状態であったが、本人の地元に戻りたいという思いが強く、他院のICUへ転院した患者を経験した。ICUにおける地域連携も必要とされており、本症例をもとに院外ICUへの転院に必要とされる患者・家族への支援、病院間の連携について検討した。
2,臨床経過
70代男性。心不全・腎不全・呼吸不全あり人工呼吸器、持続透析管理が必要な状態。入院生活の中でA氏より「地元に戻りたい」という意思表示があった。病状は安定したが、持続透析をしており一般病棟への移動は困難であった。地元B病院へ戻るとした場合、医療水準を維持するためにもICUに入院する必要があったため、地元B病院ICUへ転院となった。
ICU間の転院は前例がなかったが、医療水準を維持したまま転院することを目指して様々な介入を行った。家族は当初、転院について抵抗感を示されていた。そこで看護師が家族と面談を実施したところ「この状態で転院できるのか」「病院への移動は大丈夫か」「転院先でここと同じクオリティの医療・ケアが受けられるのか不安」との発言があった。これらが転院への抵抗感の原因であった。ICUに入室している患者は医療依存度が高く病状も不安定であるため、家族は病状理解がしにくい状況にあった。そのため医師より家族への説明時間を設けた。医師から説明を受けた後、家族は転院について納得された。
医療水準を維持するために1,転院できる状態であるのか、2,安全に転院先病院へ移送できるか、3,転院後に同じ治療、ケアが受けられるかを検討し、介入した。医療者間で情報共有し、患者の状態の評価を行い、安全に移送できるよう準備をした。転院先ICUとも情報交換を行い、B病院看護師に当院へ訪問してもらった。転院させる側・受ける側双方が施設の環境、患者の状態、ケアの仕方等を情報共有し患者が安全に転院できるよう準備を進めた。約1ヶ月をかけ、B病院ICUへ転院した。
3,結論
ICUでの退院支援においては1,患者・家族の転院に対する意志決定支援、2,医療水準を維持するための病院間の連携が重要である。