第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 研究

[P50] 一般演題・ポスター50
感染・敗血症 研究03

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:40 ポスター会場9 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:松井 憲子(東北大学病院 看護部 総合外科病棟)

[P50-2] 救命救急病棟看護師の手指衛生順守率に影響を与える要因分析

高良 優 (浦添総合病院 看護部 救急救命センター)

【背景】
当院は感染対策チームにて毎月の手指衛生サーベイランス(直接観察法)を実施している。救命病棟では他の集中治療病棟(ICU・HCU)に比べ手指衛生遵守率が低い。適切な手指衛生を行い、遵守率を向上させるためには、教育、動機付け、または制度的変更が必要であるとアメリカ疾病予防管理センター(以下CDC)は報告している。当院では教育(集合研修)・制度的変更(マニュアル等)は統一されている。動機付けが救命病棟の手指衛生遵守率に影響を与える要因と考えられるため、今回それを分析したので報告する。

【目的】
救命病棟の手指衛生遵守率が低値である要因を明らかにする。

【方法】
1.対象・データ収集
救命病棟看護師に手指衛生に関するインタビューを行い、その内容を逐語録にし、コード化した。
コードを内容ごとに分類し、サブカテゴリーを作成。類似性をもとにサブカテゴリーからコアカテゴリーを作成した。

2.倫理的配慮
研究対象者へ口頭・書面で研究の目的、方法を説明し了承を得た。得られた情報は匿名とし、個人が特定できないようにした。

【成績】
救命病棟看護師5名に対しインタビューを行った。
手指衛生遵守に対する意識・認識から、計160のコードが抽出された。コードから同一表現、意味内容が類似するものを集約した結果、46のサブカテゴリーとなった。サブカテゴリーから「手指衛生は遵守すべき」「病原微生物伝播に対する危機感」「清潔の意識」「汚染の意識」「手指衛生の優先順位が低い」「手指衛生遵守の対策」「手指衛生場面の曖昧さ」の7のコアカテゴリーが抽出された。

【考察】
インタビューから抽出された7のコアカテゴリーのうち手指衛生遵守率が低値である要因として、救命病棟では手指衛生に関して教育された内容が具体的な行動に移行していない状況があり、それが「病原微生物伝播に対する危機感」、「手指衛生場面の曖昧さ」のカテゴリーに含まれると考える。
また、医療現場における手指衛生のためのCDCガイドラインで手指衛生非遵守の影響要因に「忙しすぎる」と挙げているように、救命病棟は在院日数が2-3日と短く臨時の検査が多い。そのため業務優先となり「手指衛生の優先順位が低い」状況になっていると考えられる。

【結論】
手指衛生遵守率を向上させるためには、病棟の特徴に適応させた方法で感染防止対策に関する教育を行い、内発的な動機づけに繋げる介入を日常的に行っていく必要がある。