[P51-1] 劇症型心筋炎に対するIMPELLATM 5.0を用いた非薬物的治療の後方視的検討
【題名】 劇症型心筋炎に対する機械的循環補助の後方視的検討
【背景】 劇症型心筋炎による重症心不全に対する非薬物的治療として、補助人工心臓(LVAD)の使用が推奨されている1)。従来のLVAD装着術は脱血管と送血管の装着に胸骨正中切開が必要であったが、IMPELLATM 5.0挿入は小切開で、非侵襲的な装置として注目されている。
【臨床経過】 2018年1月から8月に当院集中治療室に入室した劇症型心筋炎患者9例について報告する。集中治療室搬入時、9例中7例でV-A ECMOを使用し、大動脈バルーンパンピングを全例で使用していた。SOFAスコアの中央値は11( 四分位範囲9, 11 )であった。ICU入室後、肺鬱血を認めた患者ではLA・RA脱血、上行大動脈送血によるCentral ECMO (2例)、遠心ポンプ型体外式LVAD+RVAD-ECMO(2例)、IMPELLATM 5.0+V-A ECMO(1例)を留置し、肺鬱血のない症例では拍動流型体外式LVAD(1例)、遠心ポンプ型体外式LVAD+遠心ポンプ型体外式RVAD(1例)、IMPELLATM 5.0(2例)、を留置した。Central ECMO症例のうち1例では肺鬱血改善後にIMPELLATM 5.0に循環補助を変更した。遠心ポンプ型体外式LVAD+遠心ポンプ型体外式RVAD症例では左心機能の改善に乏しく術後49日で植込型LVADに変更したが、他の症例では機械的循環補助を離脱した。補助循環開始から離脱までに要した日数は、IMPELLATM 5.0を用いなかった症例では中央値7日(四分位範囲7, 10日)、用いた症例では中央値31日(四分位範囲28, 33.75)であった。周術期合併症としてIMPELLATM 5.0挿入症例のうち2例でVascular injuryが起こり、うち1例は集中治療室へ再入室が必要であった。血栓塞栓症、脳卒中は起こらなかった。
【結論】劇症型心筋炎による重症心不全に対し機械的循環補助を行った9症例を経験した。IMPELLATM 5.0は低侵襲に長期の機械的循環補助を行うことができるため、今後の劇症型心筋炎による重症心不全に対する治療ストラテジーが変化するかもしれない。
【参考文献】:1) Chen YS et al. Eur J Cardiothorac Surg 2005; 27: 921-32.
【背景】 劇症型心筋炎による重症心不全に対する非薬物的治療として、補助人工心臓(LVAD)の使用が推奨されている1)。従来のLVAD装着術は脱血管と送血管の装着に胸骨正中切開が必要であったが、IMPELLATM 5.0挿入は小切開で、非侵襲的な装置として注目されている。
【臨床経過】 2018年1月から8月に当院集中治療室に入室した劇症型心筋炎患者9例について報告する。集中治療室搬入時、9例中7例でV-A ECMOを使用し、大動脈バルーンパンピングを全例で使用していた。SOFAスコアの中央値は11( 四分位範囲9, 11 )であった。ICU入室後、肺鬱血を認めた患者ではLA・RA脱血、上行大動脈送血によるCentral ECMO (2例)、遠心ポンプ型体外式LVAD+RVAD-ECMO(2例)、IMPELLATM 5.0+V-A ECMO(1例)を留置し、肺鬱血のない症例では拍動流型体外式LVAD(1例)、遠心ポンプ型体外式LVAD+遠心ポンプ型体外式RVAD(1例)、IMPELLATM 5.0(2例)、を留置した。Central ECMO症例のうち1例では肺鬱血改善後にIMPELLATM 5.0に循環補助を変更した。遠心ポンプ型体外式LVAD+遠心ポンプ型体外式RVAD症例では左心機能の改善に乏しく術後49日で植込型LVADに変更したが、他の症例では機械的循環補助を離脱した。補助循環開始から離脱までに要した日数は、IMPELLATM 5.0を用いなかった症例では中央値7日(四分位範囲7, 10日)、用いた症例では中央値31日(四分位範囲28, 33.75)であった。周術期合併症としてIMPELLATM 5.0挿入症例のうち2例でVascular injuryが起こり、うち1例は集中治療室へ再入室が必要であった。血栓塞栓症、脳卒中は起こらなかった。
【結論】劇症型心筋炎による重症心不全に対し機械的循環補助を行った9症例を経験した。IMPELLATM 5.0は低侵襲に長期の機械的循環補助を行うことができるため、今後の劇症型心筋炎による重症心不全に対する治療ストラテジーが変化するかもしれない。
【参考文献】:1) Chen YS et al. Eur J Cardiothorac Surg 2005; 27: 921-32.