第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

補助循環

[P51] 一般演題・ポスター51
補助循環01

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場10 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小倉 崇以(前橋赤十字病院 高度救命救急センター 集中治療科・救急科)

[P51-7] Impella5.0抜去後に挿入部からの大量出血をきたした2症例

佐藤 仁信, 南 公人, 伊藤 慎也, 加澤 昌広, 月永 晶人, 前川 真基, 矢作 武蔵, 大西 佳彦 (国立循環器病研究センター病院 麻酔科)

【背景】Impellaは補助循環装置の一種であり、経大動脈的に左室に挿入し、左室から脱血を行い、大動脈に送血する心内式軸流ポンプカテーテルである。本邦では2017年9月にImpella2.5とImpella5.0が保険収載されたばかりで、本邦における合併症の報告は少ない。 Impella5.0は最大5.0L/minでの循環補助が可能であるが、21Frと大口径であり、挿入には外科的なカットダウンや人工血管の吻合を要する。当院では、リハビリテーション時の可動性や、大腿動脈を選択した場合に挿入部位より遠位の血流障害が起こる可能性を考慮し、鎖骨下動脈もしくは弓部大動脈へ人工血管を吻合し、Impella5.0の挿入を行っている。 Impella離脱後数週の経過で、挿入部の人工血管吻合部から大量出血をきたし、外科的介入を必要とした症例を2例経験したので報告する。【臨床経過】症例1:42歳女性。リンパ球性心筋炎の再発を繰り返しており、5回目の再燃を生じ、前医にてVeno-arterial extracorporeal membranous oxygenationを導入され、当院紹介となった。当院搬送後に弓部大動脈をアクセスルートとしてImpella5.0が挿入された。心機能は徐々に改善し、35病日にImpellaから離脱した。46病日に抜糸を行われたところ、創部離開を認めた。創部の洗浄後、胸部レントゲン写真を撮影中にImpella挿入部痕より大量に出血した。用手圧迫のまま手術室入室し、開胸止血術を施行された。大動脈と人工血管との吻合部からの出血であった。症例2:59歳男性。劇症型心筋炎による心原性ショック、多臓器不全のため当院紹介となった。循環補助目的に、左鎖骨下動脈をアクセスルートとして、Impella5.0を挿入された。心機能は徐々に改善し、挿入から14日後にImpellaから離脱した。 Impella抜去から15日後に、抜去部創部の感染徴候が認められた。開創・創洗浄を行われている最中に突然人工血管吻合部より大量出血した。用手圧迫のまま手術室入室し、止血術を施行された。【結論】 Impella離脱後数週の経過で、Impella5.0挿入部位からの外科的止血を要する大量出血を2例経験した。いずれもImpella挿入に使用された人工血管吻合部からの出血であり、創部感染や創部離開に対する創処置を契機として出血が生じている。 今後、本邦での使用が増加するに従い、同様の合併症の発生が予想される。大血管からの動脈性出血は緊急を要する致命的な合併症であり、注意が必要である。