第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

補助循環

[P52] 一般演題・ポスター52
補助循環02

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:50 ポスター会場11 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中嶋 辰徳(大分大学医学部附属病院 ME機器センター)

[P52-1] ECMO回路における安全対策の検討

櫻井 修 (金沢大学附属病院 ME機器管理センター)

【はじめに】当院では年間20例程度のECMO症例を行っているが、従来は導入時の回路はセットアップ時間を重視した人工肺を用いたものを使用していた。しかしながら、人工肺の寿命が2~3日程度と短く、回復期に回路交換を強いられることも多くみられ、安全面での対応に問題があったため、長期型人工肺を組み込んだ回路へ変更することとした。その際にいくつかの安全対策を組み込んだので報告する。
【回路】従来はMedtronic社製のCBカスタムパックを使用し、ポンプ部はMedtronic社製Gyro pump、人工肺はMedtronic社製アフィニティNTを使用していた。今回、ポンプはGyro pumpをそのまま使用し、人工肺は泉工医科工業社製メラエクセランNSH-Rへと変更、それに合わせて回路も泉工医科工業社製へと変更した。
【安全対策】2016年10月に日本体外循環技術医学会(JaSECT)より出された安全管理基準を参考に、回路内圧測定用コネクタの導入、CDIの接続を行いやすいように工夫した。また、酸素吹送圧を測定することで、ガスフラッシュ時の戻し忘れを防止できるようにした。定期的な血液採取に備え、閉鎖式の加圧回路を接続し感染対策への配慮を行った。
【考察】様々な安全対策の導入によりECMO施行時は確実な管理が行えるようになったが、導入時には人工肺のエア抜けの悪さや側枝が多くなったことによるエア抜きの煩雑さなどにより、回路準備時間が若干長くなってしまった。また今後の課題として、圧測定用のコネクタの位置が現在は脱血側および送血側は人工肺より患者側になっているため、人工肺目詰まり時の判定が困難である。人工肺出口の圧に関しては採血用の加圧回路は圧トランスデューサーを備えており、ケーブルを接続することでベッドサイドモニタにて表示することができるため今後送血側の圧コネクタの位置をポンプと人工肺の間に設置するべきであると考えられた。
【結語】ECMO用回路を変更した際に、様々な安全対策を行った。安全対策を行う事により、回路は煩雑になるため少ない対策で効果的な安全を得ることが大切であると考えられた。今後改良を進め、簡便な回路と安全対策を両立できるよう考えていきたい。