[P52-2] メラ遠心血液ポンプシステムUNIMOの使用経験
【背景】経皮的心肺補助(PCPS:percutaneous cardiopulmonary support)は、重症心不全、開心術後の低拍出症候群、大血管手術による補助循環に用いられている。特に、急性心筋梗塞による重症心不全の病態においては、PCPSの迅速な導入および、有効な経皮的冠動脈形成術(PCI:percutaneous coronary intervention)が必要となる。当院では、TERUMO社製 キャピオックスEBS エマセブを使用していたが、2018年8月よりMERA泉工医科工業株式会社製 メラ遠心血液ポンプシステムUNIMOを導入した。いくつかの使用経験からPCI手技中および、ICU入室後の管理についての違いを報告する。【使用経験】カテーテル室でPCPSを導入後、PCIを行う場合、キャピオックスEBSエマセブはアンギオ装置の寝台の動きにより血液回路が引っ張られることがあるため、手技中にPCPS装置本体を動かす必要があり、送脱血管抜去やkinkの危険性が高かった。それに対して、メラ遠心血液ポンプシステムUNIMOは専用のキャリーハンガーを使用し遠心ポンプおよび、人工肺部分を寝台に乗せることで血液回路が引っ張られることなく、より安全にPCIを行うことが可能であった。また、患者搬送時においても同様に、専用のキャリーハンガーを使用し遠心ポンプおよび、人工肺部分をストレッチャーに乗せることで、より安全な移動が可能であった。メラ遠心血液ポンプシステムUNIMOは、冷温水槽が一体化された荷台に、装置本体を乗せかえることが可能である。それによりIABP、人工呼吸器、血液浄化装置、生体情報モニターなど様々な装置が設置されている病室内で、スタッフのワーキングスペースが確保でき、より安全な患者管理を行うことができた。キャピオックスEBSエマセブは人工肺のwet lungを予防するために1時間に1度、酸素フラッシュを手動で行っていた。また、血液流量の変動に対し酸素流量は手動で設定しない限り一定であるため、V/Q mismatchを起こす可能性が高かった。それに対し、メラ遠心血液ポンプシステムUNIMOはオートフラッシュモード、V/Qモードの搭載によりヒューマンエラーを予防し、より安全に管理を行うことが可能であった。【結論】メラ遠心血液ポンプシステムUNIMOは取り扱いが簡便であり、カテーテル治療および、ICUでの集中治療管理を、より安全に行うことが可能になった。