第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[P55] 一般演題・ポスター55
鎮痛・鎮静・せん妄 研究03

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場14 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:竹中 千恵(京都府立医科大学附属病院 集中治療部)

[P55-1] 集中治療部で鎮痛・鎮静管理を受けせん妄を発症した頭頸部癌再建術患者の睡眠の特徴

高山 裕喜枝1, 有田 広美2, 岩崎 光恵1, 桑原 勇治1 (1.福井大学医学部附属病院 看護部, 2.福井県立大学 看護福祉学部)

【背景】頭頸部癌再建術患者は、覚醒後にせん妄を発症することが多い。A病院ICU入室した過去3年間(2016-2013)の頭頚部癌術後ICU入室者60名(男性40名、女性20名)の診療録調査結果(岩崎2016)58.3%が術後せん妄を発症した。せん妄発症要因として、年齢・職業・ICU入室中の眠剤使用の有無に有意差がみられた。【目的】ICUでの鎮痛管理を受けた頭頸部癌再建術患者の睡眠・覚醒を分析し、せん妄発症患者、非せん妄患者の睡眠の特徴を明らかにする。【方法】ICU入室(2017年6月~2018年1月)し、鎮痛・鎮静管理を受けた頭頸部癌再建術後患者8名を対象とした。データ収集は、1.診療録より年齢、性別、入室期間、呼吸器管理時間、ICDSC、RASS、CPOT、術後鎮静薬(塩酸デクスメデトミジン)投与時間、眠剤使用、身体抑制の有無、せん妄の有無を調査した。2.マット型睡眠計(スリープスキャン(株)タニタ)を用い21時~翌朝7時までの睡眠を測定した。プロポフォール終了後のデクスメトミジン・フェンタニル投与中の睡眠および病棟退室後7日間の睡眠を分析対象とし、せん妄群と非せん妄群で睡眠時間、中途覚醒時間、睡眠効率の差をt検定を用いて比較した。【倫理的配慮】福井大学医学部倫理審査委員会の承認を得た。対象者には、研究の主旨と参加は自由意思であることを書面と口頭で説明し同意を得た。【結果】対象者は8名(男性6名、女性2名)、平均年齢65.1±8.2歳、ICU在室時間56~183時間、平均99.3時間であった。せん妄発症3名、非せん妄5名であった。平均睡眠時間は、せん妄群437.6分、非せん妄群497.2分(p<0.05)、平均中途覚醒時間はせん妄群132.7分、非せん妄群80.5分(p<0.1)、平均睡眠効率はせん妄群77.0%に対し、非せん妄群86.0%(p<0.1)であった。せん妄群のプロポフォール終了後の睡眠状態のグラフでは断眠が多く、まとまった睡眠ブロックは見られなかった。病棟退室後の睡眠においてもせん妄群と非せん妄群の中途覚醒時間、睡眠効率において有意差が見られた(p<0.1)。【結論】今回の調査結果では、せん妄発症患者は睡眠時間が短く、中途覚醒時間が長く睡眠効率が悪い傾向にあり、睡眠がせん妄発症に関与している可能性が示唆された。特にプロポフォール終了した後は、眠剤の工夫、日常生活に昼夜のメリハリをつけるなど睡眠への看護が重要である。本研究は平成28-30年度科学研究費助成を受けて実施した(課題番号16K12035)