第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 症例

[P56] 一般演題・ポスター56
鎮痛・鎮静・せん妄 症例02

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:40 ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中村 祥英(地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院ICU/CCU)

[P56-3] ICU退室後の患者のICUでの記憶の有無

野口 綾子1, 細川 康二2, 天谷 文昌3, 山崎 正記1, 橋本 悟1 (1.京都府立医科大学附属病院 集中治療部, 2.広島大学大学院 救急集中治療医学, 3.京都府立医科大学大学院医学研究科 疼痛緩和医療学教室)

【背景】ICU入室経験のある患者がICUでの記憶をどれほど保持しているかの情報は不足している。
【目的】ICU退室後患者調査から得たデータより、ICUでの記憶の有無とそれに関連する患者属性を検討する。
【方法】本調査は2016年4月から2017年10月にA大学病院の成人ICU(6床)で実施された入室患者の満足度に関する観察研究の二次分析である。
ICUに12時間以上入室した18歳以上の患者を対象に、一般病棟の一般床に退室後訪床し、ICUでの記憶の有無を調査した。母国語が外国語である者、精神疾患と意識障害がICU入室前または退室後にある者は除外した。患者属性として、年齢、性別、APACHEII、ICU滞在日数、経口挿管・気管切開の有無、人工呼吸日数、予定・緊急手術後か非術後患者の別、鎮静薬・鎮痛薬の2時間以上の持続投与の有無を診療録から抽出した。多変量解析により、ICUでの記憶のないことに関連する因子を分析した。
【結果】研究期間中、ICUに入室した患者616名中、患者選択基準に合致し研究参加に同意が得られた404名のデータを分析した。ICUでの記憶のある患者 (198 [49%])とない患者(207 [51%])群間で、年齢の中央値に統計学的有意差が認められた(66 vs.73, p<0.01)。年齢別では、記憶のない患者割合は年齢が増加することに増加した(表1)。多変量解析の結果、ICUでの記憶のないことに関連する因子は年齢(OR [95%CI]:1.07 [1.05-1.09], p<0.001)であった。
【結語】ICU入室患者は、退室後半数に記憶がない。記憶の有無への関連が強く示唆されたのは年齢であった。
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