第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 症例

[P56] 一般演題・ポスター56
鎮痛・鎮静・せん妄 症例02

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:40 AM ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中村 祥英(地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院ICU/CCU)

[P56-5] A病院集中治療室看護師の疼痛管理に関する認識と課題

中田 桃子, 多田 真太郎, 杉山 妙子, 芹沢 まどか, 鳥越 涼介 (公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター)

【背景】集中治療室に入室する重症患者の多くはあらゆる痛みを感じており、疼痛管理を行うことは患者の予後改善に繋がるため重要である。A病院集中治療室では、疼痛評価において主観的疼痛評価ツールのみで客観的疼痛評価ツールは使用していない。看護師の中には疼痛管理に関して困難や悩みを感じている者がいるがその要因は明らかではなく、疼痛に関する認識の現状を把握する必要があった。そこで、疼痛管理の質向上を目的として疼痛管理推進チームを結成、疼痛管理に関するアンケートを行った。認識が明らかとなり課題や今後の取り組みへの示唆が得られたため報告する。
【倫理的配慮】アンケートについて書面にて説明し、参加は任意とした。対象者の特定ができないよう配慮した。
【方法】A病院集中治療室(GICU・HCU)看護師にアンケートを行い、患者特性を加味してユニット毎に結果を分析した。今回は人工呼吸器装着患者が多く在室するGICUの結果を考察した。
【結果】患者の訴える痛みについて、全看護師が身体的苦痛を捉えていた。患者の疼痛に気づくポイントとして、多くの看護師が<観察>や<バイタルサイン変動>などを疼痛評価につなげていた。集中治療室における疼痛管理に関して、多くが「難しい」「どちらともいえない」と回答したが、その理由に明らかな差異はなかった。分析により<主観的評価の限界><難渋する鎮痛介入><疼痛管理における医療者間の認識の差異>が表出された。疼痛評価ツールの中でも客観的疼痛評価ツールの認知度は低かった。
【考察】A病院集中治療室看護師は、主観的評価の限界を感じ、様々な客観的側面から患者の痛みを捉えていた。根拠ある看護実践に繋げるために、今後は客観的疼痛評価ツールを使用することで患者観察に意味付けをすることが重要であると考える。しかし客観的疼痛評価ツールの認知度は低く、導入には基本的知識の習得と実践場面での演習など戦略的にすすめる必要がある。鎮痛への介入が難渋する一因として知識不足が考えられ、勉強会を含めた知識獲得の場を設ける必要がある。また、疼痛管理における医療者間の認識に関して、医療者間のコミュニケーション不足や既存の疼痛評価ツールの使用方法が統一されておらず差異を感じていることが明らかとなった。疼痛管理に関する共通認識を持つために、多職種カンファレンスでの治療方針の共有や活発な意見交換が必要である。