[P60-1] 食道手術における反回神経刺激電極付き気管チューブの使用経験
【背景】食道癌に対する食道手術後に反回神経麻痺が生じる頻度は高い。術後反回神経麻痺は術後呼吸器合併症の増加・入院期間の延長・不可逆的な嗄声を引き起こすこともある。甲状腺摘出術で使用され、術中に反回神経を同定できる筋電計電極付きの気管チューブは、その有用性が多くの文献で報告されており各施設で普及しているが、食道手術での使用報告は未だ少ない。
【目的】胸腔鏡下食道手術に反回神経を同定する目的で筋電計電極付き気管チューブを使用し、術後反回神経麻痺減少に寄与するか否かを検討した。
【方法】2017年4月1日から2018年3月31日に当院で胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した32例を対象とした。うち9例で筋電計電極付き気管チューブ(NIMチューブ)を使用した。全例術後は集中治療室に入室し、術翌日の抜管後に耳鼻科医が喉頭ファイバーを用いて声帯の可動性や反回神経麻痺の有無について評価した。
【結果】NIMチューブを使用した9例(NIM群)のうち、2例(22.2%)が反回神経麻痺と診断された。2例とも左側の反回神経麻痺であった。NIMチューブを使用しなかった23例(control群)では6例(26.1%)が反回神経麻痺と診断された。うち2例が右側、4例が左側の反回神経麻痺であった。反回神経麻痺の発生率は両群間で有意差はなかった(p=0.820)。
【結論】食道手術中にNIMチューブを使用することで術後反回神経麻痺が減少するという研究結果はいくつか報告されている。当施設における検討ではNIMチューブ使用の有無で術後反回神経麻痺発生率に有意差はなかった。これは対象症例数が少なかった上に、チューブ位値の調整や太さの選択が不慣れであったこと、神経刺激後の対応が一応でなかったことなどが原因と考えられた。
【目的】胸腔鏡下食道手術に反回神経を同定する目的で筋電計電極付き気管チューブを使用し、術後反回神経麻痺減少に寄与するか否かを検討した。
【方法】2017年4月1日から2018年3月31日に当院で胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した32例を対象とした。うち9例で筋電計電極付き気管チューブ(NIMチューブ)を使用した。全例術後は集中治療室に入室し、術翌日の抜管後に耳鼻科医が喉頭ファイバーを用いて声帯の可動性や反回神経麻痺の有無について評価した。
【結果】NIMチューブを使用した9例(NIM群)のうち、2例(22.2%)が反回神経麻痺と診断された。2例とも左側の反回神経麻痺であった。NIMチューブを使用しなかった23例(control群)では6例(26.1%)が反回神経麻痺と診断された。うち2例が右側、4例が左側の反回神経麻痺であった。反回神経麻痺の発生率は両群間で有意差はなかった(p=0.820)。
【結論】食道手術中にNIMチューブを使用することで術後反回神経麻痺が減少するという研究結果はいくつか報告されている。当施設における検討ではNIMチューブ使用の有無で術後反回神経麻痺発生率に有意差はなかった。これは対象症例数が少なかった上に、チューブ位値の調整や太さの選択が不慣れであったこと、神経刺激後の対応が一応でなかったことなどが原因と考えられた。